冬を迎える準備の様子などを紹介するシリーズ「いわての冬支度」。最終回で紹介するのは、11月オープンしたばかりの盛岡市のスケート場のリンクづくりです。
職人たちの技が光る市民に親しまれてきた施設の冬支度に密着しました。
盛岡市みたけの岩手県営スケート場です。
スキーなどと並ぶ代表的なウィンタースポーツの一つスケートを楽しむことができる施設は、1972年=昭和47年の完成から長年に渡って市民に親しまれてきました。
その県営スケート場は11月23日、今シーズンの営業をスタートさせました。
「おはようございます」
「来てくれる方来てくれる方ちゃんと覚えてていただける私どもらにあいさつしてくれる助かってた」
市民がスケートを楽しむリンクを見つめるこの男性。
スケート場を管理する市内の建設業、「アイティーエヌ・ジェイワールド」の藤澤浩二さんです。
藤澤さんは施設班リーダーで、リンクづくり歴およそ30年のベテランです。
今シーズンのリンクづくりは気温が高く推移したことから例年よりも遅い11月16日に氷を張る作業が始まりました。
(藤澤浩二さん)
「散水作業でリンクの上で氷を作る作業をやっていた このシーズンこの1週間で決まってしまいます」
リンクは、冷凍機でマイナス14度に冷やした不凍液が循環する床の上に何度も水をまくことで氷が張られていきます。
この製法は施設が完成した当時から変わりません。
「きれいに洗い飛ばしてやってきれいな水をのせてやって、それが凍るようにしてやらないといけない。気合いれてないとふっとばされて後ろに飛んでいってしまいます」
枯葉や虫などを取り除き均等に水をまく。
これを何日も繰り返すリンクづくりは手間がかかります。
作業は深夜まで行われることも。
寒さに耐えながらの体力勝負です。
また機械の調整や水を撒く技術など、どれが欠けてもきれいなリンクはできません。
「やり直しはできない。ペンキがやり直しって溶かすと、塗ってたペンキがコンクリートからはがれてしまう」
体力だけではなく長年の経験によって培われた技術が必要な作業でもあるのです。
「3月までみんな一緒」
11月23日のオープン当日。
この日は朝から最後の仕上げを行いました。
リンクの氷を削って整える整氷作業です。
気温が高かったため氷が張れず、11月1日のオープン予定を延期した県営スケート場。
気温が下がり始めようやくオープンのめどが立ったということもあり作業の失敗は許されません。
藤澤さんは注意深くリンクを見つめます。
氷の厚さをおよそ5センチに整え最後に水をまけばリンクの完成です。
午前10時、今シーズンの営業が始まると、オープンを待ちわびた市民が次々と施設を訪れました。
(訪れた人は)
「20年ぶりに来ました。初めての経験でよかった楽しかった」「気持ちく滑れた。きれいに作っていただきとても感謝」「めちゃくちゃ滑れるからいい」
(藤澤浩二さん)
「最後の仕上げで雨降られて雨が凍った氷ができてしまった朝とるのに苦労した滑る滑走面については十分滑れるように削れた」
今シーズンのリンクは完成しましたが、藤澤さんたち職人の仕事はこれで終わりではありません。
メンテナンスなど2025年の3月初旬までの営業期間中にやるべきことはたくさんあります。
(藤澤浩二さん)
「やること自体が楽しくてしょうがない。嫌なこといっぱいあるが、やるだけやっておもしろくてずっと続けている」
リンクづくりには風や気温など自然を相手にする楽しみがあると話す藤澤さん。
スケートを楽しむ市民のために職人たちはリンクと向き合います。
今シーズンの営業は2025年3月2日まででシーズン中は無料開放やスケート教室などが予定されます。
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