青森県黒石市の「津軽こけし館」は、経営面での問題から4月から当面の間、こけしの販売など営利活動ができなくなっています。

これを受け、こけしファンとのつながりを絶やさないようにするため施設のスタッフが独立して販売店のオープンを決めました。

『市直営』となったことでこけしの販売できなくなった「津軽こけし館」

黒石市の津軽こけし館のすぐ隣、同じ敷地内のテナントに4月15日にオープンする「こけし工房 tsuN'agaru(ツナガル)」です。店先に並んでいるのは3月まで、こけし館で販売していたグッズです。

津軽こけしプロジェクト 山田拓郎代表
「こけし館でよく買ってくれたお客さんが、何年か経ってくると『いらない』というか、一回整理しないとお家に置けないっていうので、買ってた方のこけしをまた預かって販売しているものもある」

工房を運営する津軽こけしプロジェクトの代表・山田拓郎さん。
店をオープンするきっかけとなったのは、4月からこけし館を運営するのが当初計画されていた大手旅行代理店ではなく、黒石市の直営となったことでした。

まさかの窮地に立ちあがったのは『元スタッフ』

旅行代理店が2023年、公正取引委員会の立ち入り検査を受けため、市が一時的に運営することになり、こけしの販売など営利活動ができなくなりました。この窮地に立ちあがったのが山田さんでした。

津軽こけしプロジェクト 山田拓郎代表
「(販売場所が)無くなってしまうことに気を落としていたけれども、そのニュースを聞いてとてもうれしいと言われた」

山田さんは3月まで津軽こけし館でスタッフとして勤務していました。
16年間働く中で数々のイベントを企画しこけしの魅力を発信してきました。

イベントを通して、観光客や製作するこけし工人と交流を深めてきた山田さん。こけしを大規模に販売する店が消えることに危機感を抱きました。

「高齢工人の背中をちょっとだけ支える・押す役目を…」決意の開業

津軽こけしプロジェクト 山田拓郎代表
「特に高齢の方、自分で販路・販売の切り盛りができない方もいらっしゃることを長年の経験で知っていた。そういった方の背中をちょっとだけ支えてあげるとか、押す役目とかをやってあげたいと思った」

山田さんはこけし館で販売していたグッズを全て買い受け、店をオープンさせることにしました。人々の絆を作りたいという思いを込めた店名は「こけし工房 tsuN'agaru(ツナガル)」です。

津軽こけしプロジェクト 山田拓郎代表
「皆さんで盛り上げていただいた、こけし館でもあったし、津軽でもあったと思ったので、その活動を自分でもできる限り、この場を使ってつなげていきたいと思っています」

新たな店につまっているのは山田さんの『こけし』と『郷土』に対する真摯な気持ちです。

「こけし工房ツナガル」は、津軽こけし館の敷地内で午前9時~午後4時まで、当面、平日は不定休とし、金曜、土曜、日曜、祝日は基本的に営業しています。

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