11月5日の米大統領選を僅差で争う民主党候補のハリス副大統領(写真右)と、共和党候補のトランプ前大統領(左)のどちらが勝つかは、投票から何日もたたなければ分からない可能性がある。ニューヨークとアリゾナ州で撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid & Evelyn Hockstein)
11月5日の米大統領選を僅差で争う民主党候補のハリス副大統領と、共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝つかは、投票から何日もたたなければ分からない可能性がある。
選挙を左右しそうな激戦州は7つあり、それぞれが投票用紙の取り扱いや集計について独自のルールを設けている。
選挙当日とその後に予想されることは以下の通り。
アリゾナ州
アリゾナ州では郵便投票が非常に盛んで、2020年の前回大統領選では有権者の90%近くが期日前に投票し、その大部分が郵便投票だった。アリゾナ州の選挙当局は郵便投票を受け取った時点で処理と集計を始めることができるが、結果は投票終了の1時間後まで公表できない。
選挙当日に投函された郵便投票は、投票所が閉まるまで処理できない。22年の選挙では、州最大のマリコパ郡の全投票数の5分の1が「遅い期日前投票」投票だった。
ジョージア州
ジョージア州では早期の期日前投票が盛んで、投票の65―70%が期日前投票所で実施されると当局は見込んでいる。投票のうち5%程度になる可能性がある不在者投票や郵便投票は、選挙当日の2週間前から署名の確認などの手続きをできるものの、それらの集計は投票日まで待たなければならない。
州法によると、直接投票と郵便投票からなる全ての期日前投票は選挙当日の米東部時間午後8時(0000GMT)までに集計され、報告されなければならない。当局は選挙当日の投票も含め、深夜までに全ての票を集計することを目指している。
外国在住者や軍人の投票は11月5日までの消印があれば、選挙の3日後まで受け付ける。このような形で要求された投票用紙は2万1000枚を超えており、これらの票が集計されるまで極端な接戦に決着が付かないかもしれない。
ミシガン州
ミシガン州では前回大統領選の後、投票所での期日前投票が導入され、人口が5000人を超える管轄区域では選挙8日前から郵便投票の処理と集計を開始することが認められるようになった。小規模な管轄区域では11月4日から可能となる。
当局はこれらの変更により、郵便投票を事前に処理できなかった前回大統領選よりも迅速に結果を報告できるようになることを期待している。
ネバダ州
前回大統領選でのネバダ州の開票作業は遅く、民主党候補だったバイデン大統領に結果の電話があったのは選挙の5日後だった。関係者は、その後の変更によってプロセスが迅速化するはずだと説明している。
最も顕著なのは、各郡が10月21日に郵便投票の処理と集計を始めることが許可されたことだ。加えて期日前投票の集計は投票終了まで待つのではなく、選挙当日の午前8時(1500GMT)に開始できるようになった。
それでも、ネバダ州の結果はすぐに出ないかもしれない。同州では郵便投票の人気が高まっており、遅く到着した郵便投票用紙を受け付ける唯一の激戦州となっている。
11月5日までの消印がある郵便投票でも、4日以内に到着すれば集計される。このように遅く届く郵便投票は民主党にとって有利な票なのが通例で、選挙日の後の集計でハリス氏の票が上積みされる可能性がある。
ノースカロライナ州
選挙当局は、選挙日に先立って郵便投票の処理とスキャンを始める。投票終了後、最初に報告される結果は郵便投票と期日前投票が中心となる可能性が高い。選挙当日の投票は夜通しで集計、報告され、深夜までに全体の結果が出る見込みだ。
世論調査の結果が示唆するように選挙が接戦になれば、ノースカロライナ州の結果は1週間以上にわたって明確にならないかもしれない。11月5日に到着する不在者投票や、外国と軍の有権者からの投票用紙は、選挙後10日間の開票期間中に集計される。前回大統領選で各メディアが同州でのトランプ氏勝利を報じたのは、選挙の10日後の11月13日だった。
ペンシルベニア州
おそらく最も重要な激戦州のペンシルベニア州は、前回大統領選で選挙日の4日後になるまで勝者がはっきりしなかった。当局が郵便投票用紙の膨大な残りを精査したためだ。同州は、選挙当日の米東部時間午前7時まで作業員が郵便投票用紙を処理したり、集計したりすることを許していない数少ない州の1つだ。
民主党支持者の方が共和党支持者よりも郵便投票をしているため、選挙当日の直接投票に基づく初期の結果はおそらくトランプ氏が優勢となるだろう。だが郵便投票が集計されるのに伴い、トランプ氏のリードは縮まる可能性が高い。
前回大統領選でこのパターンが見られ、トランプ氏は不正を主張した。陰謀説が浮上するのを阻止するために今年は、大部分の郡が選挙日の夜中に集計が終わっていない郵便投票の総数を発表することを義務づけた新法が施行された。
ウィスコンシン州
ペンシルベニア州と同様、ウィスコンシン州も郵便投票の処理や集計を選挙日の朝まで認めていない数少ない州の1つだ。このため、郵便投票の結果の報告が遅れる可能性がある。
さらに州内の主要都市の多くは、郵便投票用紙を集中管理した場所へ運んで処理、集計をしているので、投票終了後の早朝に大量の票が一斉に報告されることになる。
前回大統領選では州最大の都市ミルウォーキーで米中西部時間午前3時半(0830GMT)ごろに17万票近い不在者投票の結果を報告後、バイデン氏の票数が急増してトランプ氏を逆転した。
トランプ氏らは事実誤認で不正を主張したが、このような増え方をすることはミルウォーキーでの投票用紙の処理方法と、民主党支持者が郵送で投票する傾向が強いことから予想されていた。今回の大統領選でも同じようなパターンになりそうだ。
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