韓国の国旗=ソウル市で2023年10月1日午後2時25分、福岡静哉撮影

 北大西洋条約機構(NATO)は28日、ブリュッセルの本部に韓国政府の高官を招き、北朝鮮軍のロシアへの派遣について情報交換した。NATOのルッテ事務総長は会合後の記者会見で、北朝鮮軍がロシア西部クルスク州に派遣されたことを韓国国家情報院(国情院)が確認したと述べた。

 国情院によると、北朝鮮軍は既に約3000人をロシアに派遣しており、派遣規模は年内に1万人に達する可能性がある。

 北朝鮮はこれまでウクライナに侵攻する露軍に武器と大量の弾薬を供給してきたが、北朝鮮軍が前線に派遣されると第三国の正規軍としては初の参戦となり、ウクライナでの戦闘は新しい局面を迎える。

 北朝鮮による派兵が拡大した場合、兵員不足に苦しむウクライナとの兵力差が拡大する懸念がある。会合では北朝鮮の狙いや、派遣される部隊の構成、規模、派遣が想定される地域、戦況への影響などについて情報を共有し、対策を検討した。ルッテ氏は、北朝鮮軍の派兵は重大な国連決議違反であるとして、北朝鮮とロシアに派兵を停止するよう求めた。

 また会合には日本、豪州、ニュージーランドの大使も招かれ、北朝鮮軍が露軍との連携を強化し実戦経験を積むことで、朝鮮半島やアジア、太平洋地域の軍事バランスにどう影響が出るかも検討した。【ブリュッセル宮川裕章、ソウル日下部元美】

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