ソウル外信記者クラブでの記者会見に出席した元徴用工訴訟の原告、梁錦徳さん=ソウル市内で2023年2月16日午後3時54分、坂口裕彦撮影

 韓国最高裁(大法院)で日本企業の敗訴が確定した元徴用工訴訟を巡り、賠償金相当額を韓国政府傘下の財団が肩代わりする解決金を拒否していた生存原告の一人、梁錦徳(ヤンクムドク)さん(94)が23日に解決金を受け取った。財団関係者への取材でわかった。

 梁さんは元勤労挺身(ていしん)隊員で、これまで約30年間、被害者を代表して被害実態や日本企業の賠償責任を訴えてきた。財団の解決金についても、被告企業の寄付や謝罪がないとして「過ちを犯した人は別にいるのに、(韓国の)皆さんに物乞いをしてまで、お金を受け取りたくはない」と拒否していた。今回の判断は他の原告にも影響を与える可能性がある。

日本側に謝罪や賠償を求めるプラカードを手にする梁錦徳さん(右)=ソウル市内で2023年3月1日午後2時33分、坂口裕彦撮影

 財団関係者によると、最近、原告側から受け取る意向が伝えられた。受領に転じた理由については明らかにしなかったという。

 訴訟を巡っては、2018年に判決が確定した原告15人のうち、梁さんら生存者2人を含む4人が受け取りを拒否。財団は日本企業の韓国での資産を売却して賠償金に充てる「現金化」を防ぐため、賠償金相当額を裁判所に供託する手続きをとった。だが、地裁が不受理にするなどし、リスクは解消されていなかった。【ソウル日下部元美】

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