集会に参加した米民主党のハリス副大統領(左)と共和党のチェイニー元連邦下院議員=中西部ウィスコンシン州で2024年10月21日、AP

 米大統領選(11月5日投開票)が2週間後に迫る中、民主党のハリス副大統領の陣営は、接戦州である東部ペンシルベニア、中西部ミシガン、ウィスコンシンの3州での選挙活動に力を入れている。3州の結果は勝敗に大きく影響するだけに、ハリス氏の陣営は、穏健な保守層や無党派層の取り込みに加え、従来の民主党支持層のつなぎ留めも図っている。

 3州はいずれも伝統的に民主党が優位で、同党のシンボルカラーにちなんで「ブルーウォール(青い壁)」と呼ばれる。だが共和党のトランプ前大統領も白人労働者層を中心に支持を広げており、接戦の7州に含まれている。複数の世論調査でもハリス氏とトランプ氏の支持率は拮抗(きっこう)する。

 ハリス氏は21日、3州を回り、共和党で反トランプ派のチェイニー元連邦下院議員と一緒に集会に参加した。

 チェイニー氏は自身を「プロライフ(人工妊娠中絶反対派)」だとしつつ、トランプ氏が過去に中絶が違法になった場合、罰則が必要だと発言したことに触れ、各州で中絶規制が強化されている現状を行き過ぎだと批判。また、ハリス氏への投票を公言することを恐れる共和党員が多くいるとし、「良心に従って投票し、誰にもそれを言う必要はない」などと訴えた。

 米メディアによると、両氏はとりわけ郊外に住む保守派の女性有権者の切り崩しを狙っている。

 3州はいずれも知事が民主党で、ペンシルベニア州のシャピロ知事とミシガン州のウィットマー知事は将来の大統領候補にも名前が挙がる。

 AP通信によると、3知事はバスに乗ってキャンペーンを展開するなど積極的にハリス氏を支援。それぞれの人脈を通じて、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り民主党離れが指摘されるイスラム教徒のアラブ系コミュニティーのほか、トランプ氏が取り込みを図るユダヤ系など従来の支持層を固めようとしているという。

 民主党にとって、3州は”分水嶺(ぶんすいれい)“と言える。ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏と戦った2016年の大統領選では3州ともトランプ氏が制し、当選につなげた。一方、20年の前回選ではバイデン大統領(民主党)が3州を取り返し、トランプ氏を破っている。【ワシントン松井聡】

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