北朝鮮は昨年9月、水中からの核攻撃を可能にする戦術核攻撃潜水艦の進水式を行った KCNAーPOOLーLATIN AMERICA NEWS AGENCYーREUTERS

<米軍の攻撃抑止にとどまらず世界の海に「ステルスな脅威」を広げる可能性が>

10月8日、韓国のメディアは軍と国会の関係筋から得た情報として、北朝鮮が初の原子力潜水艦の建造を始めたとみられると報道した。

現時点での原潜保有国は、核兵器を保有する6カ国のみ。北朝鮮はイスラエル、パキスタンと同じく、核保有国でありながら原潜を保有していない3カ国の1つだが、原潜の開発は数年前から進めていると報じられていた。


原潜は、ディーゼルエンジンで駆動する通常動力型潜水艦より長期の連続潜航が可能だ。航続距離はほぼ無限で、水中速度も通常動力型よりはるかに速い。

注目されるのは、北朝鮮の原潜が敵国の都市に数メガトン級の威力を持つ核攻撃を行える弾道ミサイル潜水艦になるのか、それともはるかに幅広い機能を持つ攻撃型潜水艦になるのかだ。

建造されるのが弾道ミサイル潜水艦なら、北朝鮮は世界のどこからでも核弾頭を発射できるようになる。

あるいは攻撃型潜水艦なら、北朝鮮はいくつもの海にまたがって海軍力を展開できるようになる。具体的には、核弾頭と通常弾頭の両方を搭載した巡航ミサイルの配備、特殊部隊の投入、魚雷やミサイルを使用した対艦任務などが可能になる。北朝鮮がたとえ数隻とはいえ、これらの能力を手にすることの意味は極めて大きい。

では、実際にこれらの潜水艦が有用性を発揮する状況とはどのようなものなのか。

例えば将来の米政権が、北朝鮮の工業施設や軍事基地に対して限定的な攻撃を行ったと仮定する。この場合、弾道ミサイル潜水艦を保有していれば、北朝鮮はアメリカに核兵器の使用を含む最大限の攻撃を、大規模かつ高精度に行うことができる。


しかも北朝鮮は現在、東アジア全域の標的に対しては相応の報復攻撃を行う能力を持っているが、攻撃型潜水艦があればグアムやウェーク島、米本土を含む遠方の標的も攻撃することが可能になる。

ロシアが重要な役割?

このクラスの潜水艦が建造されたなら、北朝鮮にとってはアメリカとの軍事力の格差縮小に向けた大きな一歩になる。アメリカ領にある軍事基地などに限定的な巡航ミサイル攻撃を行う能力を新たに手に入れれば、将来的にアメリカからの攻撃を抑止する上で助けになる可能性がある。

北朝鮮の原潜プログラムには、ロシアからの技術移転などが重要な役割を果たしているとみられる。ロシアは武器の供給元として北朝鮮への依存度を高めつつあり、アメリカに対抗するために隣国である北朝鮮の軍事力を強化したいと考えているため、その可能性は大いにある。

原潜についての詳細な計画は不明だが、2030年代半ばから後半にかけて2〜4隻が配備される可能性が十分あるとみられる。

北朝鮮の防衛部門は過去10年ほどで技術的な遅れを克服し、多くの分野で最先端の技術を手にした。戦略的核抑止にとどまらない原潜の配備は、北朝鮮軍の能力向上を象徴している。


熱核弾頭の小型化や長距離巡航ミサイルエンジンなど一連の技術の進歩は、将来的に北朝鮮の原潜を極めて強力な兵器にしかねない。

From thediplomat.com

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