イスラエル軍は17日、パレスチナ地区ガザでイスラム組織ハマスの最高指導者シンワル氏(写真)を殺害した可能性を確認していると発表した。8月撮影(2024年 ロイター/David 'Dee' Delgado)

イスラエルのカッツ外相は]17日、イスラム組織ハマスの最高指導者シンワル氏がパレスチナ自治区ガザでイスラエル軍に殺害されたと発表した。

昨年10月7日のイスラエル奇襲を首謀したとされるシンワル氏の死亡は「イスラエルにとって軍事的にも道徳的にも偉大な成果だ」と述べた。


 

また、ネタニヤフ首相は声明で、シンワル氏の死が中東和平の機会をもたらすとしながらも、まだ任務は終わっていないと指摘。人質の家族に向けて「これはこの戦争における決定的瞬間だが、人質が全員帰還するまで全力で攻撃を続ける」と言明した。

イスラエル軍はガザ南部ラファ市での通常作戦中にハマスの戦闘員3人を殺害したと発表し、その後シンワル氏の死亡を確認した。情報に基づき指導者らを狙う作戦とは異なり、シンワル氏と知らずに遭遇したと明かした。

ハマスは公式コメントを出していないが、関係筋はシンワル氏がガザ南部で殺害された兆候があると述べた。

バイデン米大統領は声明で、シンワル氏が目標の達成に向けた大きな障害だったとした上で、「その障害はもはや存在しない。しかし、なお多くの課題が残っている」と述べた。

またホワイトハウスによると、バイデン氏がネタニヤフ氏と電話会談し、シンワル氏の死亡を機にいかに人質を帰還させ、戦争を終結させるかについて協議した。

交渉の先行き

ハマス最高指導者だったハニヤ氏が7月にテヘランで暗殺された後、トップに指名されたシンワル氏は、ガザに築いた地下トンネルに20年間にわたり潜伏していたとみられる。

米国務省のミラー報道官は、シンワル氏が戦争終結の「最大の障害」だったとし、同氏の死亡を受けて米国は停戦と人質解放を実現する提案について協議を始めたいと述べた。シンワル氏がここ数週間、交渉を一切拒否していたとも明かした。

欧米は停戦を望んでいるが、シンワル氏殺害が中東での対立を激化させる恐れもある。イスラエルは親イラン武装組織ヒズボラを標的にレバノンでも地上作戦を進めているほか、イランが今月行ったミサイル攻撃への報復も計画している。

とはいえ、シンワル氏の死亡が行き詰った停戦交渉を前進させるきっかけになる可能性はある。ガザとイスラエルの当局によると、今回の紛争でイスラエル側で約1200人が死亡、250人以上が人質になった一方、パレスチナ側の死者は4万2000人以上に上っている。



[ロイター]


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