韓国につながる道路を爆破した北朝鮮は17日、爆破は韓国を「徹底的な敵対国家」として規定した憲法による措置だと明らかにしました。緊張が高まる南北境界の町を取材しました。
■境界の町で「けだものの音」
北朝鮮との境界線沿いの坡州市に住む人々を悩ませているのは、夜中に流れる意味不明の音でした。
山本志門ソウル支局
「今、午後8時ですが、私が宿泊する部屋からも大きな音が聞こえてきました。北朝鮮の方角から、非常に不快なサイレンのような音が聞こえてきます」
「機械音のようなものとか」
「夜中に“けだもの”が来て鳴いているのかと思ったり」 この記事の写真
なぜこんな音を流し始めたのか。理由を辿ると、5月のゴミ風船騒動にさかのぼります。韓国の脱北者団体からの“ビラ風船”に対して“ゴミ風船”で対抗。それを受けて始まった韓国側からの“宣伝放送”に対して、人を恐怖を感じさせるほどの異様な音で返しています。
お互いの放送合戦自体は60年以上前から始まった、ある種の時代の産物ですが、これほど不快な音を流すことはありませんでした。韓国メディア『KBS』によると、この騒音は最大87デシベルにも上り、救急車のサイレンの音にも匹敵します。
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■鉄条網設置 相次ぐ“敵対行為”■鉄条網設置 相次ぐ“敵対行為”
北朝鮮は17日、南北をつなぐ道路や鉄道を爆破した時の写真とともにこのようなコメントを出しました。
朝鮮中央通信「大韓民国を徹底的な敵対国家として規定した共和国憲法による必然的措置である」
憲法に韓国を“敵対国家”に規定していることが初めて明かされました。一体、何が起きているのか。北朝鮮側の村でも変化が起きていました。
「あれはスピーカーでしょうか。かなり大型で新しいスピーカーのように見えます。あちらから北朝鮮の放送が大音量で聞こえてきます。そして、田んぼには農作業をしている姿が確認できます。韓国と北朝鮮を隔てる北朝鮮側の川べりには白いポールがいくつも立っています。ここに鉄条網を作るとみられています」
韓国メディアによると、北朝鮮は境界線付近に鉄条網を設置するなど、完全に韓国を分離しようとしているとみられます。
朝鮮戦争以来、南北は朝鮮半島の西側海上の境界線をめぐって、ずっと揉めてきました。こうしたことがエスカレートすれば、2010年の延坪島(ヨンピョントウ)砲撃のような事態が繰り返される恐れもあります。実際、その延坪島に砲撃を行った北朝鮮側の砲門が開いたことが確認されています。
北朝鮮は、15日の爆破について「北朝鮮と韓国の領土を分離するための“段階的実行”の一環だ」としていて、さらなる南北関係の悪化が懸念されます。
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