石破茂首相

 ラオスの首都ビエンチャンを訪問している石破茂首相は10日午後(日本時間同日夜)、中国の李強首相と会談した。両首相の会談は初めて。日中の首相が対面で会談するのは、5月に岸田文雄首相(当時)が訪問先の韓国・ソウルで李氏と会談して以来となる。

 石破首相は、中国広東省深圳市で日本人学校に通う男子児童が9月に刺殺された事件について、事実解明や再発防止を日本政府として改めて要求する見通し。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、日中両政府が9月に日本産水産物の輸入停止措置の撤廃を発表したのを受け、輸入の早期回復を実現するよう求めるとみられる。

 両首相は「戦略的互恵関係」の推進を再確認する見通し。石破首相は、8月に起きた中国海軍の測量艦による領海侵入や、9月に起きた中国海軍空母による日本の接続水域航行に「深刻な懸念」を伝達。台湾を巡る軍事情勢についても「注視している」と伝える。

 石破首相はラオス訪問に合わせた一連の会談では、自身が持論とする「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想については取り上げないとしており、李氏との会談でも言及しない見通しだ。【ビエンチャン影山哲也】

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