イスラエルがイランに対する軍事攻撃を実施した19日、パリのイラン領事館で男が立てこもる事件があった。男は爆発物を所持していると話し「自爆する」と周囲の人々を脅した。警察が付近の道路を封鎖し、現場は一時騒然となった。

中東情勢が緊迫する中で起きただけに、テレビ局は生放送で領事館の周囲の様子を報じた。大事件に発展することも覚悟したが、男はしばらくして拘束。所持していた手榴弾も偽物だった。報道によると、男は仏在住のイラン人で、妹がイラン当局に逮捕されたと主張し「イランに報復したかった」と話したという。

供述の真偽は不明だが、一部の住民から男を擁護する声が上がった。ある市民は男の行為を「暴力ではなく、表現の自由」とし「イラン政府との戦いに人生をささげた」と称賛した。国際社会がイランに厳しい目を向けている状況は理解できるが、犯罪を正当化する意見には違和感を覚えた。

パリ五輪を控え、仏政府は警戒レベルを最高水準に上げ、テロの脅威に対応する構えだ。ただ、反イランの思想にとどまらず反ユダヤ主義などが引き起こすテロも懸念される。安全保障問題の専門家は「多様な思想が入り乱れ、テロのリスクは増え続けるだろう。仏政府がどこまで防ぎきれるか」と頭を抱えた。(板東和正)

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