逆転無罪の判決を受け、記者団の取材に応じる朴裕河氏=ソウル高裁前で2024年4月12日、金宣希撮影

 韓国のソウル高裁は12日、著書「帝国の慰安婦」で虚偽の記述をして元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪に問われた朴裕河(パク・ユハ)・世宗大名誉教授の差し戻し審で、罰金1000万ウォン(約110万円)とした2審判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。最高裁が2023年10月、「無罪とみるべきだ」として、審理を高裁に差し戻していた。

 高裁はこの日の判決で、著書における表現は「学問的主張の中での意見表明と評価することが妥当だ」と指摘し、名誉毀損罪には当たらないとの判断を示した。朴氏は判決後、記者団に「多くの方々が心を尽くして助けてくれたおかげだ」と感謝の言葉を繰り返した。朴氏はこの問題を巡る民事訴訟では1審の有罪判決を不服として高裁に控訴しており「民事でも正しい判決を下してくれると考えている」と述べた。

 朴氏は著書で慰安婦問題は女性に対する人権侵害だと指摘する一方、当時の慰安婦と日本軍は「同志的な関係」にもあったなどと表現した。元慰安婦らは14年に朴氏を刑事告訴し、検察が在宅起訴していた。

 17年の1審は無罪判決を下したが、2審のソウル高裁は同年、「虚偽の事実を示し、元慰安婦の名誉を毀損した」として罰金刑を言い渡した。朴氏は一貫して無罪を主張。朴氏と検察がそれぞれ上告していた。【ソウル福岡静哉】

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