ロシア軍とウクライナ軍の戦闘から避難してきた人たち=露西部クルスク州で2024年8月12日、AP

 ウクライナ軍の越境攻撃を受けるロシア西部クルスク州のスミルノフ知事代行は12日、州内の18万人が避難する見通しだと明らかにした。約12万人が既に避難し、残りの約6万人も準備を進めている。プーチン大統領や治安当局の幹部らが出席する会合で述べた。

 スミルノフ氏によると、州内の28集落がウクライナ軍の支配下に置かれ、これまでの住民の死者は12人、負傷者は121人に上った。会合には隣接するベルゴロド州の知事も参加し、ウクライナ側による砲撃などで今年に入って州内で36人が死亡し、約300人が負傷したと説明した。過去2年半で3万戸以上の住宅が被害を受けたという。

 プーチン氏は「ウクライナ側がなぜ、平和的解決策に戻るという提案を拒否したのかがはっきりした。敵は将来的に交渉を有利に進めようとしている」と指摘。その上で「民間人を無差別に攻撃するような者たちと、どんな交渉ができるというのか」と述べた。

 一方、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は12日、ロシア領約1000平方キロを制圧したと明らかにした。露国防省もこれまでに、ウクライナ軍の部隊が国境から最大30キロ前進したことを認めている。ロシア側はクルスク州と、隣接するベルゴロド、ブリャンスク両州で掃討作戦を続けている。【モスクワ山衛守剛】

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