日本と米国の国旗=東京都千代田区で、武市公孝撮影

 日米両政府は28日、東京都の外務省飯倉公館で外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開いた。4閣僚の共同発表によると、自衛隊が2024年度末までに部隊運用を一元的に担う「統合作戦司令部」を創設するのに合わせ、米側は在日米軍を新たに「統合軍司令部」として再構成し、運用を強化する。東アジア地域で日米が連携して作戦行動をとる姿勢を鮮明にした。装備品の共同生産についても、種類や生産能力を拡大する方針を示した。

 日米2プラス2は23年1月に米ワシントンで開催して以来、約1年半ぶり。日本側は上川陽子外相と木原稔防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席した。

 協議では、4月に岸田文雄首相が公式訪米した際の首脳会談で合意した▽日米間の指揮・統制枠組みの向上▽装備品の共同開発・生産▽核戦力を含む米国の「拡大抑止」――を中心に議論した。

日米間の指揮・統制見直しイメージ

 日米間の作戦指揮については従来、在日米軍は日本政府や自衛隊との事務的な折衝などは担うが、日本に駐留する部隊の運用・作戦指揮権はハワイ・ホノルルのインド太平洋軍が有していた。米側は今回、インド太平洋軍司令官の下に「統合軍司令部」を創設し、日本側の統合作戦司令部のカウンターパートとする意向を表明。米側の統合軍司令部は「日本および周辺の活動の調整について、主要な責任を負う」とし、極東地域の部隊運用や作戦指揮も担うとみられる。

 防衛装備品の協力に関しては、日本が既に米国への輸出を決めている地対空誘導弾「パトリオットミサイル」の改良型である「PAC3MSE」や中距離空対空ミサイル「AMRAAM」を具体的に挙げ、「生産能力拡大のため、互恵的な共同生産の機会を追求する」とした。

 地域情勢では、中国の外交政策は「他者を犠牲にし、自らの利益のために国際秩序を作り変えようとしている」との見解で一致し、「国際社会全体の深刻な懸念であり、最大の戦略的挑戦だ」と指摘。沖縄県・尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されることを改めて確認した。

 ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、中国によるロシアの防衛産業基盤への支援や、北朝鮮からの弾道ミサイル調達などに懸念を表明した。

 一方、沖縄県で米兵による性的暴行事件が相次ぎ、懸念材料となっている。これについて、在日米軍が地元自治体などと意見交換の場を新設することなどを念頭に、「同盟協力の精神に基づき在日米軍によって実施される取り組みを前向きに評価した」とした。

 また、拡大抑止について、4氏は2プラス2と別の枠組みで、閣僚会合を初めて開催した。共同発表では米国の核政策や核態勢などについて「緊密に協議するコミットメントを再確認した」と強調した。【小田中大、中村紬葵】

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