欧州議会で欧州委員長に再選され、笑顔をみせるフォンデアライエン氏=仏東部ストラスブールで2024年7月18日、ロイター

 欧州連合(EU)の欧州議会(仏ストラスブール、定数720)は18日、EUの行政執行機関である欧州委員会のトップ、欧州委員長にウルズラ・フォンデアライエン氏(65)を任命する採決を行い、賛成多数で同氏を再選した。任期は5年。フォンデアライエン氏はウクライナ支援や従来の地球温暖化対策を維持するとともに、軍事面では米国への依存を低減し、EU独自の防衛力を強化する方針。

 最大会派の中道右派「欧州人民党」(EPP)を率いるフォンデアライエン氏は中道左派「欧州社会民主進歩同盟」(S&D)、中道派「欧州刷新」(RE)と合わせた親EU3会派を中心に支持を固め、過半数を大きく上回る計401票を獲得した。環境会派「欧州緑の党・自由連盟」の一部もフォンデアライエン氏を支持したとみられる。

 フォンデアライエン氏は採決に先立つ議会演説で、「次の5年間が、この先50年の世界における欧州を方向付ける。自ら未来を決めるのか、他に委ねるかの選択だ」と強調。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を必要な限り継続することを確約するとともに、EU加盟国の防衛産業を育成し、軍事面での米国依存を弱め、EU独自の防衛力を強化する重要さを訴えた。

 環境政策では、2040年に温室効果ガス排出量を1990年比で90%削減する目標を堅持すると約束。一方で、環境規制による負担に反発してデモを繰り返した域内の農家にも配慮する方針を述べた。

 フォンデアライエン氏はまた、EUの加盟国で構成する欧州理事会の議長国、ハンガリーのオルバン首相が今月5日、モスクワでプーチン大統領と会談したことに言及。「ロシアに対する融和行為だ」と批判した。【ブリュッセル宮川裕章】

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