イーロン・マスク氏

 米短文投稿サイト「X(ツイッター)」オーナーのイーロン・マスク氏は12日、虚偽情報など違法コンテンツの投稿規制を定めた欧州連合(EU)の法律にXが違反しているとの欧州委員会の見解に対し、法廷で争う考えを示した。マスク氏は罰金逃れのための「密約」を欧州委から提案されたとも主張したが、詳細や根拠を全く示していない。欧州委側はこれを全面否定している。

 マスク氏はXに「法廷での闘争を楽しみにしている。欧州の人々は真実を知ることができるだろう」と投稿。法違反との見解を受け入れず、欧州委に対し訴訟を起こす考えを示した。

 マスク氏はさらに「欧州委は『ひそかに言論を検閲するなら罰金を科さない』との違法な密約を持ちかけてきた」と投稿。「他のプラットフォーマーはその取引を受け入れた。Xは受け入れなかった」と一方的に主張した。

 これに対し、欧州委のブルトン委員(域内市場担当)は「どうぞ、お好きなように。『密約』など誰が相手であっても絶対に存在しない」と否定するコメントをXに投稿した。

 ブルトン氏は、欧州委が法律で定める「和解」申し出の機会であれば、全てのプラットフォーマーに提供していると説明。Xに対しても担当者の求めに応じて和解手続きについて解説したと明かし、「和解を申し出るか否かを決めるのは、あなたたち次第だ。また会おう(法廷でも法廷でなくても)」と投稿した。

 欧州委は12日、虚偽情報やヘイトスピーチなどの投稿規制を大手IT企業に義務づけたデジタルサービス法(DSA)にXが違反しているとの暫定的な見解を公表した。改善に応じなければ、Xは巨額の罰金を科される可能性がある。

 2022年10月にXを買収したマスク氏は自らを「言論の自由絶対主義者」と称し、いかなる投稿規制にも反対する立場をとる。マスク氏がオーナーになった後、Xでは虚偽情報などの不適切な投稿が大幅に増えたと指摘されている。【ワシントン大久保渉】

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