スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島 Hendrik Cornelissen-Unsplash
<テネリフェ島の砂岩から、保存状態が極めて良好な巨大トカゲの化石が発見された>
スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で、70万年前のトカゲの化石が、骨格がつながったままの極めて良好な保存状態で見つかった。
【動画】驚異の保存状態...テネリフェ島で発見された70万年前のトカゲ化石
研究者はこの化石について、カナリア諸島に人類が到達するはるか以前に生息していた絶滅種の巨大トカゲ「ガロティア・ゴリアテ(Gallotia goliath)」の可能性があると見ている。
現役を引退した植物学者のアルノルド・サントス-ゲラが、驚くほど保存状態が良好なトカゲの化石に遭遇したのは2年前、カタツムリの殻を探していた時だった。
この標本が見つかった重さ19キロの砂岩には、もう1匹のトカゲ(恐らく小型あるいは幼体)の化石も含まれていたが、こちらは保存状態がかなり悪かった。
この2匹は砂丘で一緒に死んだのだろうと研究者は見ている。
大きい方のトカゲは保存状態が極めて良好で、骨格がバラバラにならずに生きていた時の姿を保っていた。突然死んで砂に埋まったために、腐敗することも餌にされることもなかったと思われる。
サントス-ゲラはテネリフェ島にあるラ・ラグーナ大学の古生物学者カロリーナ・カスティージョ-ルイスに連絡を取り、同大で標本のスキャンとクリーニングを行った。今後さらに詳しい調査を予定している。
大きい方の化石は、頭蓋骨をデジタルで再現してカナリア諸島の別の絶滅種のトカゲや生きているトカゲと比較する。
骨格の特徴を詳しく分析することで、この標本がガロティア・ゴリアテなのか、それとも全く別の種なのかを見極める。
ラ・ラグーナ大学は、近くのエル・イエロ島で見つかったさまざまなトカゲの化石のコレクションを所蔵している。化石は4000年~1万5000年前のもので、保存状態の良い歯の付いた顎の骨格や脚の骨格などが、比較研究用に綿密にカタログ化されている。
新しい標本は保存状態が極めて良好なため、断片から推定しなくても原形をとどめた化石を正確に測定でき、比較がしやすいとカスティージョ-ルイスは話す。
今回の発見は、先史時代のカナリア諸島の野生生物の解明に役立つとともに、この地域の古生態学を研究する手がかりにもなる。骨格が保たれていることで、そうした古代爬虫類の形態や推定される行動を調べることができ、進化と順応に関する理解が深まることが期待される。
今後はこの化石の解剖学的特徴を詳しく調べ、生物多様性とカナリア諸島で起きた環境の変化に関する研究に役立てる。
(翻訳:鈴木聖子)
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