ヨーロッパの選挙で波乱が相次いでいます。イギリスで14年ぶりに政権が交代したのに続いて、決選投票が始まったフランスでも極右政党が第1党になる勢いです。

■英は政権交代 仏は極右勢力が躍進

 オリンピックを目前に控えたフランスが揺れています。

 日本時間の午後3時から始まった国民議会選挙の決選投票。予測ではマクロン大統領が率いる与党連合が第3勢力に縮小。

国民連合 ルペン前党首
「フランス国民は国民連合とその同盟をトップに据え、マクロン陣営を事実上、消し去りました」

 移民の規制強化などを訴える極右政党「国民連合」が史上初めて第1党になると予測されているのです。

 それにしても、なぜ第1党になるほど国民連合が支持を広げているのでしょうか。背景にあるのは“庶民に寄り添う政策”です。

 ロシアによるウクライナ侵攻などの影響でこの2年で光熱費が2倍近くになったという農家は。

穀物農家
「(国民連合は)電気代に関する税金を見直し、この税を下げる。ガスについても同じ」

 国民連合が訴える「光熱費の3〜4割減額」や「年金改革の見直し」などの政策に期待を寄せています。

穀物農家
「(マクロン大統領の期間は)空白の時代です。本当に何も変わりませんでした。より悪い方向に向かいました」

 野党の躍進が起きているのはフランスだけではありません。先日、行われたイギリスの総選挙では最大野党「労働党」が単独過半数を獲得。

 スナク首相が率いる与党・保守党が歴史的な惨敗し、14年ぶりの政権交代となりました。

スターマー新首相
「イギリスは国家の刷新と公共のための政治への回帰を選択しました。私が出たような労働者階級の家庭が生計を立てられる安心を与えたい」

 一方で富裕層の税制面での優遇が見直される流れに反発の動きも。

富裕層向け 会計事務所の代表
「今後1年以内にイギリスから離れることを考えている顧客が100人ほどいます。なぜならイギリスには以前のような税制上のメリットがないからです」

■選挙で波乱相次ぐ…影響は

 イランでも5日に大統領選挙が行われ、現政権の保守強硬派の候補を破り改革派のペゼシュキアン氏が勝利しています。

 欧米との対立から対話へと転換し、悪化する経済の立て直しを目指していくものとみられます。

 フランスやイギリスで起きている野党の躍進。背景には大きな共通点があると経済の専門家は分析しています。

EYパルテノン 小林暢子パートナー
「『経済への不満』これが一番大きい。今までの政権運営が必ずしも国内の経済をうまく活性化できなかったことで国民の不満がたまっている」

 また、日本経済にも影響が出る可能性があるといいます。

EYパルテノン 小林暢子パートナー
「フランスはユーロの大国ですから、結果的にユーロ安を招くかもしれません。ユーロ安の影響は、よりドルを強くする。そうすると今の円安傾向はさらに強まるのではないか。かなりベーシックなものを輸入に頼っているので、食料などの物価が上がるということになります」

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