11月の米大統領選に向け、演説するバイデン大統領=中西部ウィスコンシン州で2024年7月5日、AP

 11月の米大統領選を前に出馬撤退の圧力が強まっている民主党のバイデン大統領(81)は5日、米ABCテレビのインタビューに応じ、激戦州の中西部ウィスコンシン州での演説にも臨んだ。高齢不安の払拭(ふっしょく)を図り、選挙戦継続の意向を改めて示した。ただ、党内や献金者からは撤退を求める動きが続き、先行きは流動的だ。

 「大統領選で(トランプ前大統領に)勝つのに、私ほどの適任者はいないと思う」。バイデン氏は約20分間のインタビューでこう強調した。「全知全能の神に求められれば撤退するが、神は降りてこない」とも述べた。6月27日のテレビ討論会で精彩を欠いた理由については、風邪や疲労を挙げ、「ひどい気分だった」と釈明。独立した医療機関で認知機能検査を受けるつもりはあるのかとの問いは、「(執務を通じて事実上)毎日検査を受けている」と退けた。

 複数の世論調査でトランプ氏に先行されている点にも「私が話をする世論調査の担当者は五分五分だと言っている」と主張。党内の撤退要求論に対しては「大多数は違う」と訴えた。

 バイデン氏がインタビューに応じたのは、テレビ討論会後初めて。臨機応変の対応が求められるため、注目されていた。AP通信は今回のインタビューが「(高齢への懸念を)完全に払拭するには至らなかったようだ」と伝えた。インタビューでは「私が日本に予算を増額させた」とも言及。日本の防衛予算増額を念頭に置いた発言とみられるが、昨年6月にも同様の発言をし、日本政府の申し入れを受けて撤回した経緯がある。

 バイデン氏は5日のウィスコンシン州での演説で撤退要求を改めて拒絶した。7日には東部ペンシルベニア州で演説するほか、9~11日に首都ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に出席し、11日は記者会見も開く。

 ただ、民主党内や献金者からは撤退を求める動きが続いている。米紙ワシントン・ポストは、上院情報特別委員長を務めるワーナー上院議員が、撤退要求の議員団を結成する意向だと報じた。また、同紙によると、民主党の主要献金者である経営者らのグループは5日、ホワイトハウスにバイデン氏の撤退を求める書簡を送った。168人が署名したといい、「民主主義と国の未来のために」撤退するよう求めた。【ワシントン松井聡】

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