住民と握手するマクロン仏大統領=仏北部で6月30日、ロイター

 フランス国民議会(下院、定数577)選挙の決選投票が7日、始まる。世論調査では、極右政党「国民連合」が首位に立ち、2位に左派連合「新人民戦線」、3位にマクロン大統領が率いる与党連合が続く。ただ、左派連合と与党連合による選挙協力で、国民連合は過半数に届かない見通しとなっている。

 調査会社IPSOSと仏ルモンド紙などが5日発表した世論調査によると、国民連合の予測獲得議席数は175~205。改選前の88議席からは大幅に増加する見通しだが、過半数の289議席を下回った。左派連合は145~175議席、与党連合は118~148議席を獲得すると予測されている。

 6月30日に実施された第1回投票の得票率は、国民連合が33・1%、左派連合が28%、与党連合20%。第1回投票直後の調査会社IFOPの予測では、国民連合の獲得議席数は240~270で、過半数に迫っていた。だが左派連合と与党連合は、決選投票で極右への反対票が分散しないように、一部候補者に辞退を要請。この戦略が効果を発揮しているとみられる。

 仏国民議会選は小選挙区2回投票制で、第1回投票で有効投票の過半数を得た候補が当選し、決着がつかない場合は上位2候補と登録有権者数の12・5%を上回った候補が決選投票に進む。今回は決選投票に3人以上進む選挙区が激増し、極右に有利になるとみられていた。

極右・国民連合のマリーヌ・ルペン前党首=パリで7月1日、ロイター

 決選投票の行方は、支持した候補者が第1回投票で敗退、辞退した選挙区で、有権者が代わりにどの政党に投票するかにかかる。世論調査では、左派連合と与党連合の「極右包囲網」は、有権者に浸透しきっていない。

 調査会社エラベなどによると、左派連合と国民連合の一騎打ちとなる選挙区では、与党連合の支持者の50%が棄権し、32%が左派連合、18%が国民連合に投票すると答えた。一方、国民連合と与党連合の一騎打ちの場合、左派連合の支持者は32%が棄権し、62%が与党連合に、6%が国民連合に投票すると回答した。

 決選投票で、どの政党グループも過半数を獲得できない場合は、連立協議が始まり、大統領は過半数に達した政党グループから首相を指名する。過半数を超える連立が実現しない場合は、大統領は、第1党から首相を指名するとみられる。【パリ宮川裕章】

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