イラン大統領選の決選投票(5日実施)は6日、開票が行われ、イラン内務省によると、米欧との対話に前向きな改革派のペゼシュキアン元保健相(69)が初当選を決めた。
イランの新政権は今後、最高指導者の交代というイスラム体制にとって重大な事態に直面する可能性がある。現職の最高指導者ハメネイ師は84歳と高齢だからだ。有力な後継候補とみられていたライシ前大統領が事故死しただけに、跡目争いで体制内が混乱する可能性もある。
イランの最高指導者は、国教であるイスラム教シーア派の高位のイスラム法学者(聖職者)から選ばれ、終身制だ。軍事や外交など国政全般で最終決定権を握るほか、軍や精鋭軍事組織「イラン革命防衛隊」も従える。1979年のイラン革命後、初代の最高指導者に就任したホメイニ師は89年に死亡した。その際に大統領だったハメネイ師が2代目となった。
憲法では、最高指導者はイスラム法学者であると同時に、政治的・社会的な洞察力を持つことなどが資格とされる。選挙で選ばれた聖職者による「専門家会議」(定数88、任期8年)で選出する。
後継候補としては、ハメネイ師の息子であるモジュタバ・ハメネイ師など複数の名前がささやかれているものの、いずれも決め手にかけると言われる。また、指導者交代に伴い、革命防衛隊が政治的な権力を増すとの観測もある。【カイロ金子淳】
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