イスラエル軍によって破壊されたモスクのそばで、イスラム教の犠牲祭(イード・アルアドハー)の礼拝の様子を眺める女性たち=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2024年6月16日、ロイター

 イスラエル軍は16日、パレスチナ自治区ガザ地区への人道支援物資の搬入を進めるため、15日からガザ地区南部の一部地域で一定の時間、軍事活動を停止したと発表した。ただイスラエル軍は「作戦の停止ではない。ラファでの作戦は継続している」としており、16日も各地で軍事作戦を実施した。

 軍によると、ガザ南部ケレム・シャロム検問所から南部ハンユニスの病院までの南北約10キロの幹線道路沿いで、毎日午前8時から午後7時の間、軍事活動を停止する。国連などと協議して決定したといい、今後告知するまで続けるという。

 ガザ地区ではイスラエル軍が5月上旬に支援物資の最大の入り口だったラファ検問所を制圧した後、物資の搬入が滞り人道危機が高まっていた。国連世界食糧計画(WFP)などは5日、戦闘が続けば、7月中旬までに100万人以上が「死か飢餓」に直面する可能性があると警告。15日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも、ガザ地区の人道支援物資の搬入拡大を求める首脳声明が採択されていた。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)の報道官はAFP通信に対して、軍の発表を歓迎したが「この発表は、援助を必要とする人に、より多くの援助が届くことを意味するものではない」と指摘した。

 軍は16日もガザ各地で空爆を実施。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、中部ブレイジ難民キャンプの住宅への空爆で子ども5人を含む9人が死亡した。ガザ保健当局によると、昨年10月の戦闘開始後のガザ側の死者は3万7337人に上っている。【エルサレム松岡大地】

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