欧州連合(EU)の欧州議会選挙(定数720)は9日までに27加盟国で投票が行われた。議会事務局の予測によると、右派「欧州保守改革」(ECR)、極右「アイデンティティーと民主主義」(ID)の欧州懐疑派2会派が改選前の計118議席から計130議席に伸ばした。EUの環境規制や移民流入への反発が躍進につながったとみられる。親EU勢力の3会派では、マクロン仏大統領の与党が所属する中道会派「欧州刷新」(RE)が議席数を大幅に減らしたが、3会派の合計では計407議席を確保し、過半数を維持した。
国別では、フランスで、IDに所属する極右政党「国民連合」(RN)が、マクロン大統領が率いる与党連合に圧勝した。選挙情勢を受け、マクロン氏は国民議会(下院)の解散・総選挙を発表した。第1回投票日は6月30日、決選投票が7月7日の予定。
ドイツ公共放送によると候補者のナチス親衛隊に関する発言でIDを追放されたドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が選挙前の9議席から16議席に伸長した。
EUでは行政執行機関の欧州委員会が法案を提案し、各国で構成する欧州理事会と欧州議会で審議、採択する。欧州議会の右派、極右の伸長で不法移民の管理政策や、環境政策に影響が出る可能性がある。
欧州議会選は5年に1回実施され、有権者数は約3億7000万人。加盟27カ国の人口比率に応じた議席数が各国に割り当てられ、有権者は自国の国内政党を選び、比例代表制で当選議員を決める。選挙後、政策の近い政党同士が国を超えて会派を構成する。【ブリュッセル宮川裕章、ベルリン五十嵐朋子】
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