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<「まるでロイヤル・ツアー」や「不適切な服装」よりも深刻な問題は、犯罪者の「厚意」に甘えたこと>

ヘンリー王子とメーガン妃はナイジェリアの国防トップであるクリストファー・ムサ将軍の招待を受けて、5月10日から12日までの3日間の日程でナイジェリアを訪問。

公務を引退しているにもかかわらず、「ロイヤル・ツアー」のごとく国賓級の扱いを受けたことに加え、メーガン妃が露出度の高い服装で現地の学校を訪問したことへの批判の声が高まっていた。また、「裸は受け入れられない」というオルレミ・ティヌブ大統領夫人の発言も論争に火をつけている。

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しかし、それ以外にも大スキャンダルを抱えたのが今回の訪問であった。首都アブジャから最大都市ラゴスへの国内移動の際に使用した、航空会社エア・ピースのCEO兼会長アレン・オニェマ氏が2019年にアメリカ司法省からマネーロンダリングで起訴され、指名手配されていることが後に判明したからだ。

著名なビジネスリーダーが航空会社の役員としての地位を利用して、アメリカの銀行口座を通じて2000万ドル(約30億円)以上をマネーロンダリングしたとされる。

本誌の王室特派員のジャック・ロイストンは次のように述べる。

「かつて夫妻がワーキング・ロイヤル(働く王族)だった時代には、大使館がチェックの責務を負っていました。ホスト国と何週間も前から協力し、すべてが適切かつ合法であることを確認し、不適切な支援の申し出があった際には断っていました。そのためにイギリス王室のスタッフも約1カ月前には現地調査に向かっていたのです。(略)すべての場所を見て現地の人々に会い、その国について学び、何が起こるかを予測し、適切ではないと思われることをすべて事前に判断する機会がありました」

いまや「フリーランス」となったヘンリー王子とメーガン妃には、そのチェック体制がないために今回の問題が起きてしまったという。

今後もエア・ピース社のスキャンダルと同様のミスが繰り返されると夫妻の活動にも支障が出るとして、ロイストンは次のように述べる。

「彼らはこれを経験として受け止め、招待を受けた国々と協力し続けるしかないでしょう」

夫妻の知名度を利用しようとする人々がいることは、王室を離脱しても変わらない。むしろ「後ろ盾」を失ったからこそ、他者からの申し出を全て「善意」と受け取るような「お人好し」ではもはや済まされないのである。

「ナイジェリア旅行」を総括──本誌・ジャック・ロイストン王室特派員

Onyema/Newsweek The Royal Report with Jack Royston
 

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