NATOのストルテンベルグ事務総長=ローマで5月8日、ロイター

 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日付の英誌エコノミスト(電子版)で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、NATOが供与した兵器の一部をロシア領内への攻撃に使用することを認めるべきだとの考えを示した。対象として、ロシアのミサイル基地などを想定している。

 ストルテンベルグ氏は「ウクライナ東部ハリコフで続く戦闘で、ウクライナ軍がロシア領内の正当な目標を攻撃できないことが、ウクライナの防御を非常に困難にしている」との見方を示し、「同盟国はNATOが供与した兵器の使用制限の一部を解除すべきか検討する時期に来ている」と主張した。

ロシア軍による攻撃で破壊されたオフィスビル=ウクライナ東部ハリコフで5月25日、ロイター

 米国やドイツを中心としたNATO加盟国はこれまで、NATOが供与した兵器をロシア領内への攻撃に使用すると、加盟国とロシアの緊張がさらに高まるとして、ウクライナに使用しないよう求めている。

 このため、ロシアが自国領土内からミサイルや無人航空機(ドローン)を使った攻撃を強めているのに対し、ウクライナは主に火力の弱い自国製のドローンを越境攻撃に使用しており、不満が高まっていた。ゼレンスキー大統領は自国を攻撃する露軍兵器などに対象を絞ったNATO製兵器の使用を要望している。

 ストルテンベルグ氏は「ロシアとNATOの本格的な戦争に発展するのを阻止しなければいけない」との認識を示したうえで、「私たちは訓練や兵器、弾薬を提供するが、NATOの領土内からウクライナの作戦に参加するわけではない」と述べた。【ブリュッセル宮川裕章】

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