首脳会談に臨む岸田文雄首相(左)と韓国の尹錫悦大統領=ソウル市内で2024年5月26日、AP

 韓国・ソウルを訪問している岸田文雄首相は26日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と大統領府で会談した。尹氏は会談冒頭で、日韓国交正常化60周年となる2025年に向け「韓日関係を一層高みに引き上げることができる歴史的な転機を作れるよう準備したい」と強調。首相も「節目の年に日韓関係をさらに飛躍させるため、尹氏と私がそれぞれの政府内に指示して準備を進めたい」と応じた。

 両氏の会談は、23年11月に米サンフランシスコであったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて実施して以来、半年ぶりとなる。両氏は日韓首脳が相互往来する「シャトル外交」の復活を23年3月に合意してから、首脳間で緊密な意思疎通が続いていることを歓迎。首相は今回で尹氏との対面会談が10回目になることを紹介し、「今後もシャトル外交を継続したい」と述べた。

 首相は「自由で開かれたインド太平洋を維持、強化し、グローバルな課題に効果的に対処するためにも、両国の連携を一層、緊密化していきたい」とも表明した。会談では、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の非核化に向けた連携を確認し、日米韓3カ国の防衛協力を推進することでも一致する見通しだ。

 一方、個人情報を流出させたLINEヤフーに関連し、大株主である韓国IT大手ネイバーとの資本関係見直しを求めた総務省の行政指導に対し、韓国内では反発が強まっている。会談で、この問題について尹氏が言及するかも注目されている。

 日本政府は韓国の進歩系野党「祖国革新党」の曺国(チョグク)代表が13日に竹島(韓国名・独島)に上陸したことについて抗議しており、首相は改めて日本側の立場を説明するとみられる。【ソウル森口沙織、日下部元美】

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