国連本部=米ニューヨークで2022年8月16日、隅俊之撮影

 国連安全保障理事会は8日、パレスチナが提出した国連への正式加盟申請について協議を始め、審査委員会を非公開で開いた。ただ意見集約には至らず、次回11日に再協議する。安保理議長国のマルタは、月内に委員会での協議を終わらせるべきだとしている。

 パレスチナは2日、国連加盟を再申請した。安保理の15理事国で構成する委員会は、パレスチナが国連憲章が定める加盟要件を満たすかどうかを検討して安保理に報告する。その後、パレスチナが国家として加盟承認されるためには、安保理の投票で9カ国以上が賛成し、常任理事国5カ国が拒否権を行使しないことなどが条件となる。

 パレスチナのマンスール国連大使は8日、「安保理がパレスチナを国家として認め、『2国家解決』についての世界的なコンセンサスが実現することを心から望む」と述べた。

 しかし、正式加盟の実現は困難な見通しだ。米国はかねて「2国家解決」を支持する一方、パレスチナの国連加盟には反対している。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は委員会の終了後、記者団に「立場は変わらない」と強調した。

 米国内法は、パレスチナに正式加盟国の地位を与えた国際機関への資金拠出を禁止している。米国の分担金は国連予算全体の約2割を占めており、「国連としても本音では米国の拠出停止は困るだろう」(外交筋)との声も漏れる。

 パレスチナが初めて国連に加盟を申請したのは2011年9月。当時も米国は交渉による問題解決を求めるなどイスラエルに配慮して拒否権の行使を示唆し、安保理での審議が棚上げにされた。パレスチナは今月2日に加盟申請の協議再開を求める書簡を国連のグテレス事務総長らに送付していた。【ニューヨーク八田浩輔】

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