不倫口止め事件で裁判所に出廷した後、記者会見するトランプ前米大統領=ニューヨークで2024年3月25日、ロイター

 トランプ前米大統領が、不倫相手の女性への口止め料を不正に処理したとして起訴された事件で、ニューヨーク州高裁は8日、トランプ氏の公判延期の申し立てを棄却した。米メディアが報じた。

 トランプ氏側は、公判を担当する裁判所があるマンハッタン地区は民主党支持者が多く、61%がトランプ氏を有罪と考え、70%が同氏に否定的な意見を持っているという独自調査に言及。「(有罪か無罪の評決を下す)陪審員の選定を公正に進めることはできない」などと訴え、公判延期とともに裁判所の変更も求めたが、高裁は認めなかった。

 トランプ氏は四つの刑事事件で起訴されており、このうち、今回の事件の初公判は今月15日に開かれる。予定通り行われれば、トランプ氏は米大統領経験者で初めて刑事事件の被告として法廷に立つことになる。

 11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、選挙戦で不利になるのを避けるため、裁判日程を先送りする戦術を取っている。今回の事件を巡っては、先月に大統領在任中の行為は刑事責任を免れるという「免責特権」について、連邦最高裁が判断を下すまで公判を延期するよう求めたが、既に却下された。【ニューヨーク中村聡也】

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