米中西部ミシガン州の図書館で1974年から本を借りたままだった男性が、貸し出しから50年の節目に合わせて返却に訪れた。AP通信が報じた。図書館は「記念にしてほしい」と本を贈呈し、1万8255日分の延滞料4563・75ドル(約71万円)も免除した。
男性は「返却を忘れていたことが恥ずかしい。何か罪滅ぼしをしたい」と考え、自身のエピソードを広報し、子供の読書を啓発する非営利団体(NPO)に寄付を呼びかけている。
報道によると、男性は中西部イリノイ州シカゴ在住のチャック・ヒルデブランドさん(63)。野球好きだった13歳の時に野球選手の逸話を集めた本を借りたが、返却せずに引っ越しを繰り返し、本の存在も忘れていた。数年前に書棚を見ていた際、図書館の所蔵ナンバーがついた本があるのに気づいた。
デジタルマーケティング企業を経営していたヒルデブランドさんは「50年の節目に返せば、図書館や自治体が広報する話題になるかもしれない」と考え、数年間は本を保管。2024年11月に図書館に返却に訪れた。図書館は既に貸し出し記録を抹消しており、返却や延滞料支払いを免除した。ただ、自治体は積極的な広報はせず、ヒルデブランドさんの思惑通りにはならなかった。
そこでヒルデブランドさんは自身のエピソードを紹介した上で、クラウドファンディングを通じて、延滞料と同額をNPOに寄付する運動を呼びかけた。10%相当額を自身でまず寄付したという。ミシガン州の地元紙のコラムで紹介されたこともあり、20日までに目標額を超えた。【ワシントン秋山信一】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。