チャールズ英国王（76）の弟のアンドルー王子（64）と親しい中国人実業家が、中国共産党のスパイだった疑惑が浮上している。英BBC放送などが伝えた。
この実業家は2002年に留学のため訪英し、05年に英国でコンサルティング会社を設立したヤン・テンボ氏（50）。以後はエリート層に浸透し、アンドルー王子の誕生日パーティーにも招待されたほか、キャメロン、メイ両元首相とも会っていたという。
治安当局は21年にヤン氏の携帯電話などを押収して解析を進め、「英国の安全保障を脅かす恐れがある」として23年に国外追放処分を決めた。ヤン氏は移民の扱いを審査する「特別移民不服審査委員会」に不服を申し立てたが、同委員会は今月12日、追放の判断を支持した。ヤン氏の工作活動の詳細は不明。
アンドルー王子は19年、未成年少女に対する性的暴行疑惑などを受け、王室の公務を退いた。王子のこうした苦境をヤン氏が「利用」しようとした可能性もあり、ヤン氏の携帯電話には「王子は絶望的な状況にあり、何にでもすがる」との文章が残っていたという。
王子は13日の声明で、ヤン氏とは「既に接触を絶った。機密に関する話はしていない」と釈明した。一方、在英中国大使館は「根拠のない話だ」とスパイ疑惑を否定している。
BBCによると、ヤン氏は外国での影響力工作に従事する中国共産党の「中央統一戦線工作部」の関係者とみられるという。【ロンドン篠田航一】
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