米空軍RC-135Sコブラボール(カリフォルニア上空)2機は嘉手納基地から何を探っているのか Senior Airman Amy Younger/U.S. Air Force
<通常は主に北朝鮮によるミサイル発射の動向を探るために使用される「コブラボール」だが>
米軍の電子偵察機が12月17日時点で8日連続、日本と韓国の間の海域の上空を飛行していたことが分かった。世界の空を飛ぶ民間航空機の位置をリアルタイムで表示するウェブサイト「フライトレーダー24」が入手したデータによって判明したものだ。
本誌はこの件について、米インド太平洋軍、在韓米軍、在日米軍、米太平洋空軍と在ワシントン韓国大使館にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
問題の海域の上空を飛行していたのは、米空軍が3機のみ保有しているRC-135S偵察機、通称「コブラボール」のうちの1機だ。弾道ミサイルの光学/電子情報を収集する能力を持つ偵察機で、主に北朝鮮のミサイルの動きや発射の兆候を監視するために使用されている。
北朝鮮は過去1週間の間にミサイル発射を行っておらず、コブラボールの連日飛行が始まったのは、韓国の尹錫悦大統領が12月4日に突如、非常戒厳(戒厳令)を宣言(6時間後に解除)、今も続く政治的混乱を起こしてからだ。
韓国のMBCニュースは14日、オープンソースの飛行データを引用して、12月10日にコブラボール2機が沖縄の嘉手納基地にある前方作戦拠点から日本海(東海)に向けて飛び立ったと報じた。
X(旧ツイッター)上でオープンソースの情報分析を行っている@MeNMyRC1によれば、12月5日に嘉手納に到着したコブラボールが3度目の偵察で北に飛んだ10日、2時間後に別のコブラボールが離陸し、一機目と同じく北へ向かった。
「北朝鮮によるミサイル発射を想定してコブラボール2機が飛行しているのを見たのは、今回が初めてだ」と述べた。2機のうち1機は、12月5日に米本土から嘉手納基地に到着していた。
ある専門家はMBCニュースに対して、コブラボールはミサイルやロケット発射台の位置を追跡する能力を持つため、韓国軍の監視を行う目的で使用される可能性もあると指摘した。
MBCはまた、尹大統領や金龍顕前国防相など同じ高校出身の「沖岩派」と呼ばれるグループの韓国軍内のメンバーが韓国国内の複数の標的を攻撃を計画していたことを示す未確認情報もあり、2度目の非常戒厳が宣言される可能性があるという別の専門家の発言を伝えた。
@MeNMyRC1は16日にXのダイレクトメッセージで本誌に対し、「個人的に(コブラボールの飛行と)韓国とは一切関係ないと考えている」と述べ、さらにこう続けた。1「彼らがそんなことをする理由がない。コブラボールの飛行は続いており、そのターゲットは依然として北朝鮮だ」
業界誌「エビエーション・ウィーク」韓国版のキム・ミンソク記者はMBCニュースに対して、「RC-135S(コブラボール)はミサイルや多連装ロケットランチャーの軌道や位置を追跡することができ、北朝鮮だけではなく韓国国内におけるミサイル発射や砲撃も検出することができる。今回の飛行は、韓国軍の監視を目的として行われた可能性もある」と述べた。
@MeNMyRC1は本誌に対して、次のように述べた。「アメリカはミサイル発射のための設備が設置されていることを示すその他の情報(たとえば衛星情報)を持っているのだと思う。偵察機の飛行が活発化している理由は、そこにあるのだろう」
「今回警戒されているのは、北朝鮮が開発している新型の大型ミサイルの発射実験である可能性が高く、その情報収集はきわめて優先度が高い。画像では発射実験がいつ行われるかは分からないから、偵察機を派遣して発射が行われる可能性に備える必要があるのだ」
2025年1月20日にはアメリカでドナルド・トランプが大統領に就任する。北朝鮮が弾道ミサイルを発射することで、トランプ次期米政権にメッセージを発信しようとする可能性は考えられる。
【マップ】嘉手納基地を飛び立ったコブラボールの航跡
■10日間、行ったり来たり
■那覇上空
■嘉手納基地上空
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