今、1人の日本人が中国サッカー界で注目を集めています。

中国の首都・北京。
市内には次々とサッカー場が誕生していて、大人から子供までサッカー熱が高まっています。

しかし中国代表チームがW杯に出場することを期待しているか聞くと「私は特に期待していません」「今の中国代表は弱いので、仮にワールドカップに出場できたとしても、中国サッカーが強くなったと語ることはできません」といった意見が。

11月19日に行われたワールドカップ最終予選。
中国代表は日本代表に1-3で敗北するなど、これまで2勝4敗と苦戦が続いています。

中国では、サッカー強国化を掲げ2015年以降、さまざまな強化策が打ち出されてきました。
しかし結果が出せず、国民からは厳しい目が向けられています。

こうした中、今、中国サッカー協会が力を入れているのが“指導力の強化”です。

中国南部雲南省のスポーツセンターを訪れると、未来の中国代表を担う16歳以下の選手たちが集中キャンプで練習をしていました。

グラウンドに響き渡る大きな日本語での指導。
チームを率いているのは日本人の上村健一監督(50)。

2024年2月、日本人として初めて中国の16歳以下代表監督に就任しました。

上村さんは現役時代、Jリーグのサンフレッチェ広島や日本代表でディフェンダーとして活躍しました。

引退後は指導者の道に進み、日本のプロチームや中国のクラブの育成組織で指導。

そこで中国の全国大会で3位という結果を出し、年代別の代表監督に抜てきされました。

上村さんがまず導入したのは、プレイヤーズ・ファーストの考え方です。

監督が絶対的な存在で指示を待つことが多かった選手たちに、これまでの指導方法を変え、自ら考えて行動するよう促しました。

中国U-16代表・上村健一監督:
最後の最後まで勝つ方法を探し続ける。勝つためにやらなきゃいけないことをやり続ける。負けたらしょうがないじゃん、一生懸命やって負けたらしょうがないじゃん。諦めるな、絶対に最後まで。シンクーラ!(お疲れさま!)

また、指導はグラウンド以外の場所でも。
時間を守るといった規律ある生活を選手たちに徹底させたのです。

中国U-16代表・孫天宇キャプテン:
上村監督はとても良い監督です。グラウンドでは細かい場面の処理にこだわり、生活面では時間厳守の観念を厳しく求めます。

こうした指導が実を結び、2024年10月に行われたU‐17アジアカップ予選で中国はアジアカップ本大会の出場を決めました。

中国のメディアも、上村監督の手腕を高く評価しています。

一方、日中関係は政治面で時として反日感情が表面化します。
こうした中でも、中国のサッカー界で日本人指導者は高く評価され、今ではアマチュアチームから代表チームまで20人以上の日本人が指導に当たっています。

中国サッカー協会の宋凱会長は「現在の日本サッカーは中国をはるかに先行しています。私たちは謙虚に日本サッカーから学ぶべきです」と話しました。

上村さんは中国で監督をするに当たり100%選手のために尽くすと言います。

中国U-16代表・上村健一監督:
僕を信じてお話をいただいた担当者の方、そういった方に対して僕が返せるのは、僕が持っている100%を選手のために尽くすこと。それは自分自身、契約期間内にすべて出したいです。

日本人指導者の手腕に中国での期待が高まっています。

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