戦勝記念パレードに登場したTor-M2(2021年5月9日、モスクワ) Vladislav Sinelnikov-Shutterstock

<航空機や精密誘導兵器を撃墜するためにロシア軍が使用している短・中距離ミサイルシステムを、ウクライナ軍がザポリージャの前線で破壊>

ウクライナの無人システム部隊が公開した動画には、ザポリージャの前線でロシアの地対空ミサイルシステム「Tor(トール)-M2」を破壊する様子が映されている。

【動画】上空から爆弾を執拗に投下...ロシアの防空ミサイルシステム「Tor-M2」が爆発し、炎上する劇的瞬間が暗視カメラに

この動画は同部隊が12月7日朝に公式フェイスブックページに投稿したものだが、本誌はこれを独自に検証することができなかった。

航空機から暗視カメラで撮影された動画には、複数の爆弾を落とされたTor-M2が爆発し、炎上する様子が映っている。

ウクライナのニュースメディア「ウクライナ・プラウダ」の英訳によれば、動画の字幕には「第14独立UAV連隊の隊員が標的を検知してこれを停止させ、第412ネメシスUAV大隊のオペレーターが破壊した」と書かれている。なお、UAVは無人航空機(unmanned aerial vehicles)の略称だ。

ウクライナ国防省がX(旧ツイッター)に投稿した内容によれば、ロシアは兵士の損失という点で新たな節目へと急速に近づいており、12月6日にはウクライナとの戦争による死者が75万人を越えたという。

増加し続ける損失を補うためか、ロシアの同盟国である北朝鮮が支援に乗り出し、クルスク州の前線に1万2000人以上の兵士を配備した。

2007年に登場したTor-M2は、ロシア軍が航空機や精密誘導兵器を撃墜するために使用している短・中距離ミサイルシステムの一つだ。Tor地対空ミサイルシステムにはいくつかのバリエーションがあり、Tor-M2はTor-M1の改良版だ。

ロシア国営メディアによれば、全天候型システムであるTor-M2の射程は10マイル(約16キロ)弱で、航空機、巡航ミサイル、ドローン、対レーダーミサイル、「スマート爆弾(誘導爆弾)」など、さまざまな兵器システムに対抗できるよう設計されている。

ロシアの国営タス通信はTor-M2を「最先端」のシステムと評しており、2020年にはTor-M2用に設計されたドローンに対抗するための小型ミサイルが発表された。

米軍によれば、この小型ミサイルは「特に群れを成して飛ぶ」ドローンに対する、より優れた防御システムとして設計されている。つまり、複数あるいは多数のドローンが同じ目標に向かう状況だ。

Tor-M2は車輪または無限軌道で移動し、後期型は一度に4つの目標を攻撃できる。ロシア国営の武器輸出業者ロスオボロンエクスポルトによれば、このシステムは「敵対的環境」または「ジャミング(レーダー波に対する妨害)」環境における中高度・低高度・超低高度の空域をカバーする。

アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、Tor-M2は3人の乗員によって操作され、改良された探知レーダーを搭載しており、「反応時間の短縮」などを実現している。

(翻訳:ガリレオ)

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