韓国、戒厳令を受けて国会に突入して活動を止めようとする軍隊の車両と抵抗する国民(12月3日、ソウル)Kim Jae-Hwan / SOPA Images via Reuters Connect

<民主主義国では韓国の戒厳令を批判する声が大きいが、過去に戒厳令を経験した台湾でも、戒厳令を擁護するかのような言論が出始めている>

周辺国に衝撃を与えた韓国での短時間の戒厳令の後、台湾軍は12月4日、「民主主義を守る」ことを改めて公に誓い、国民を安心させようと努めた。

【画像】不信をもたれたくない?「民主主義の味方」訴える台湾軍のX投稿

台湾国防省はXへの投稿で、「中華民国軍は献身的かつ勤勉に戦力を強化し、防衛に備えている」と述べた。中華民国は台湾の正式名称だ。

「能力、決意、自信をもって、われわれは民主主義を守り、祖国を守る」と同省は付け加えた。この投稿には、台湾軍の活動を示す合成画像が含まれており、そこには「民主主義を守ることはわれわれの義務である」という文が表示されている。

投稿自体は韓国の戒厳令の恐怖に言及していない。「民主主義を守り、祖国を守る」とは、台湾を威嚇するために台湾の近くに艦船や航空機を派遣して、哨戒活動や演習を行っている中国に対する言葉ともとれるのだが......。

韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は3日、「親北朝鮮の反国家勢力」を根絶し、憲法上の自由秩序を守るという理由で、戒厳令を布告した。

尹は6時間後に命令を取り消したものの、40年ぶりに民主主義国家に戒厳令を敷いたことで、現在は弾劾の圧力に直面している。

韓国の政変は、台湾を含む東アジア全体に衝撃を与えた。中国から領土の一部とみなされている台湾では、国共内戦のさなかの1949年に国民党政権が戒厳令を敷いて反体制派を弾圧、それが1987年まで続いた暗い歴史がある。

台湾を拠点とするフリーランスの特派員ウィリアム・ヤンによると、台湾の一部のネットユーザーは、野党が物議を醸すような法案を可決させることを阻止するために、台湾の与党・民主進歩党(民進党)も戒厳令を宣言すればいいと書いていたという。

現在の立法院(国会)では民進党が少数与党に転落しており、野党が結集して過半数を組織すると法案を成立させることができるためだ。

これらの「乱暴な」提案について、ヤンは「危険で間違っている」とXに投稿した。

一方、台湾メディアが報じたところでは、民進党の民進党立法委員団(議員団)のアカウントは3日、ソーシャルメディア「スレッズ」に、台湾の立法院は、尹大統領が戒厳令を宣言したときと同じような危機に直面していると、戒厳令を擁護するかのような投稿をして野党の批判を浴びている。この投稿はすでに削除された。

議員団はその後、同アカウントで声明を発表。民進党は台湾の戒厳令時代に設立され、「戒厳令が民主主義社会にもたらした害悪をよく知っている」と述べた。同議員団は戒厳令を支持する意図はないと主張している。

韓国の国会と同様、台湾の立法院も野党によってコントロールされている。しかし、立法院には与党の予算や人事に対する拒否権はほとんどない、と台湾民意教育基金会の研究員ポール・ホアンは言う。

最近では、野党主導で可決された立法院権限強化法を、台湾人の大多数が支持しているにもかかわらず、与党が反対し、台湾の憲法裁判所によって違憲と判断されたことに触れた。憲法裁判所の判事は全員、蔡英文前総統が任命した判事で占められており、独立性が担保されていないと批判されている。

【画像】不信をもたれたくない?「民主主義の味方」訴える台湾軍のX投稿

The #ROCArmedForces are dedicated and diligent in strengthening our forces and preparing for defense. With capability, determination, and confidence, we will defend democracy and safeguard our homeland! pic.twitter.com/3q5IrL37FV

— 國防部 Ministry of National Defense, ROC(Taiwan) (@MoNDefense) December 4, 2024

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