韓国で3日夜に出された戒厳令を巡り、台湾与党・民進党立法委員団(議員団)が一時ネット交流サービス(SNS)に投稿した内容が波紋を呼んでいる。台湾で立法院(国会)の予算審議が野党の反対で難航していることに言及し、民進党が「国家を侵食する暗黒勢力と戦っている」と主張。最大野党・国民党は戒厳令を擁護するものだと批判している。
台湾では国共内戦中の1949年に国民党政府が戒厳令を発令。87年に解除されるまでの38年間、言論や出版の自由が大きく制限され、反体制派とされた人たちが投獄・処刑された。
民進党所属の立法委員団のアカウントは3日夜、SNS「スレッズ」に公開した投稿で「尹錫悦大統領が自由憲政体制を守るために戒厳令を発令した」と紹介。台湾では立法院で過半数を占める野党勢力が国防予算案に反対していると述べ、「チーム台湾の私たちは常に暗黒勢力と戦っている」と訴えた。
これに対し、野党の攻勢にさらされた尹氏の状況を台湾になぞらえて擁護したように見えるとしてインターネット上で批判が相次ぎ、投稿はその後削除された。
国民党の朱立倫(しゅりつりん)主席(党首)は4日の党幹部会議で「戒厳令に反対することは、世界が認める民主主義のいろはだ」と述べ、「民進党はこれを利用して政治的利益を得るべきではない」と批判した。
民進党立法委員団の呉思瑶(ごしよう)幹事長は4日の記者会見で、「民進党は一貫して権威主義に反対してきた。戒厳令を支持することはありえない」と強調。立法委員団のSNS投稿に対する審査を厳格にすると述べた。【台北・林哲平】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。