兵庫県明石市の市民グループ「明石川流域のPFAS(ピーファス)汚染を考える会」は3日、地域住民を対象にした独自の血液検査の結果を発表した。33人のうち約半数から、米学術機関「米国アカデミー」の指針値(1ミリリットルあたり20ナノグラム)を超える濃度の有機フッ素化合物PFASが検出されたという。

 グループは明石川の水を水道水に利用する東部配水場と中部配水場のエリアに10年以上居住する住民を公募し、15~83歳の33人が参加。結果の解析には京都大学の小泉昭夫名誉教授が協力した。

 結果では4種類のPFASの合計が平均22.9ナノグラムで、最も高い人で45.0ナノグラム。国内に基準はないが、米国アカデミーの指針値を超えたのは48・5%の16人にのぼった。特にPFASの代表的な物質PFOAの血中濃度が高かった。

 京都大学の研究者らが、大阪府に在住または職場がある人を対象にした血液検査では約3割が指針値を超えたが、これを上回った。

 小泉教授によると、二つの配水場のうち、明石川の水の割合が高い東部配水場の区域で血中濃度が高い傾向がみられたという。各家庭の浄水器の利用の有無による比較では、利用する人に低い傾向がみられた。小泉教授は「汚染源の一つとして水道水が考えられるのは間違いない」と指摘。引き続き大規模な調査が必要との考えを示した。

 PFASを巡って、岡山県吉備中央町が血液検査の実施を決定したり、千葉県鎌ケ谷市が血液検査や浄水器購入費用の補助を進めたり、積極的に対応する行政も出てきた。同会は昨年11月に明石市長に健康調査を要望しているが実現していない。

 今回の結果を受けてあらためて要望することを検討しており、同会の渋谷進さんは「行政は『不安をあおる』と血液検査をやりたがらないが、不安だからこそ検査する必要がある」と話している。

 明石川流域では明石市水道局の水質検査で2023年2月、川に接続する神戸市西区押部谷町の水路から、国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)の92倍のPFASが検出された。21年の神戸市の水質検査ではさらに高濃度の660倍のPFASが検出された。(大久保直樹)

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