宮城県大崎市の大崎市民病院が医師や看護師ら1千人超に時間外勤務手当を適正に支給していなかった問題で、病院は3日、未払いとなっている8億円超について今後、分割して支払う方針を明らかにした。これまでは経営状況を理由に未払い分は支払えないとしていたが、方針を一転した。

 3日の市議会民生常任委員会で、並木健二・病院事業管理者が「是正勧告を受けた時間外勤務手当の支給については、病院の経営状況を踏まえながらできるだけ早急に支給していく」と述べた。今年度中に未払い分の一部を支給し、その後も継続して支給するという。

 大崎市民病院をめぐっては、古川労働基準監督署が昨年2月、時間外勤務手当を適正に支給していないとして是正を勧告。時間外勤務手当を算出する際、本来は基礎賃金に必要な手当を含めて計算するが、病院は一部の手当を含めていなかった。時間外労働時間の過少申告も発覚した。

 病院によると、是正勧告による未払いの総額は2020年3月以降で約10・5億円に上った。病院はこのうち約2・3億円を支給したものの、経営状況が悪いとして残りの8億円超は支給を見送っていた。(中島嘉克)

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