【宮崎】延岡市は、家庭内介護などを担う「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちの支援に向けて、東京都の教育系認定NPO法人「カタリバ」(今村久美・代表理事)と連携協定を結んだ。市は家庭に入って直接支援、カタリバはオンラインで間接支援する。子どもたちとの面談や学習サポートを提供し、前向きに生きられる安心感を育む。

 市はカタリバのヤングケアラー支援「キッカケプログラム」を活用する。市が学校を通じて対象家庭を見つけ、家庭の了解が得られれば、カタリバが参画する。

 具体的には、伴走役のカタリバのスタッフ(メンター)がオンラインで、保護者を含め、子どもたちの日々の相談や学習支援に当たる。

 メンターは子どもたちと年の近い「ナナメの関係」の青年が多い。市は「子どもたちにとっては、大人(の福祉専門職)より悩みを打ち明けやすい」と判断。力を借りることにした。

 2024年度は無償、25年度以降は別途協議する。連携協定の締結は7月31日付。カタリバによると、同様の協定は全国3自治体目だという。

 今村代表理事は「ヤングケアラーの最大の問題は、本人に『自分は支援を受けていい存在』という自覚がないこと。子どもらしい時間を過ごせず、人生の可能性も狭めかねない。延岡市と一緒に取り組むことで、解決のヒントを見いだしたい」と述べた。

 ヤングケアラーが社会問題化していることから、市は23年度、市内の小中高計3校をモデル校として指定し、実態把握に乗り出した。その結果、複数の家庭が見つかり、ヘルパーの導入などにつなげた。

 ただ、ケアを担っている子どもたちの学習意欲や将来展望をどう応援するかが課題だった。このため、同年度にヤングケアラー支援の研修会に講師を派遣するなど、市と縁があり、支援ノウハウを持つカタリバと協力することにした。

 県の22年度の実態調査によると、延岡市の小6の4.2%、中2の3.5%、高2の3.9%が「お世話をしている家族がいる」と答えている。市は24年度から市内の公立小中高校のすべてで本格的にヤングケアラーの把握を進める。(星乃勇介)

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