2024年版の厚生労働白書が27日、閣議決定された。子どもの自殺者数の高止まりや、精神障害による労災認定数の増加などを踏まえ、初めて「こころの健康」を特集。心の不調を周囲に相談しづらい現状が浮き彫りになった。

 白書では、精神疾患の外来患者数(推計)が02年の約224万人から、20年には約586万人に増えたと指摘。精神障害による労災認定数は22年度に710件と過去最多で、小中高生の23年の自殺者数が513人で過去最多の前年に次ぐ高い水準となるなど、深刻な事態だとした。

 厚労省による23年度の調査で、「健康状態にとって最もリスクとなること」を尋ねたところ、「精神病を引き起こすようなストレス」と答えた人は15.6%だった。同様の回答は、04年度の調査では5.0%、14年度は11.0%で、増加しつつある。

 一方で、心の不調を周囲に相談するかどうかを尋ねた項目では、身体の病気と比べて相談しにくい傾向があることもわかった。体の不調を「自覚したら家族に相談する」が41.5%、「自覚したら学校・職場に相談する」が12.6%だったのに対し、心の不調の場合はそれぞれ30.5%、8.0%にとどまった。

 厚労省は、「こころの不調はいつでも、誰にでも起こりうると意識して、話したり聞いたりできる仕組みを政策的に担保することが重要」と分析。ストレスにもなりうる育児や介護などで女性に負担が偏る現状や、心の不調に対する差別や偏見の解消の必要性を訴えている。(吉備彩日)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。