端末に顔を向け、「顔パス決済」の準備を行う生徒=日立市西成沢町2で2024年9月10日午前10時36分、川島一輝撮影

 日立製作所が運営する日立工業専修学校(茨城県日立市)に、顔認証技術で買い物ができるシステムが導入された。同社システムを使った「顔パス決済」導入は県内では2カ所目。全国でも20カ所程度で、学校では初めて設置された。顔パス決済は、他社のシステムも含めて国内では普及途上。貨幣の動きが見えないため、同校では未成年の金銭感覚が崩れないように金融教育も行う。

 日立製作所が開発した無人店舗システム「CO―URIBA」を8月末から全校生徒の約8割にあたる150人ほどが入る寮で本格運用している。顔認証などの個人情報や、各商品の置き場と重量などを事前に登録。店舗は無人で、顔認証後、店内のセンサーで感知した人と物の動きなどから買い物客が選んだ商品をシステムが判断し、買い物が成立する。生徒らが教員と一緒に事前の商品情報の登録や在庫管理などを行う。

 他の導入場所ではクレジットカードと連携し決済しているが、未成年の生徒たちを対象とするため、口座残高が足りないと引き落とせないデビットカードと連携する。

 口座やカード情報との連携で常陽銀行が協力。商品棚上部の電子看板で「お金で困ったらどうしたらいい?」などの知識を問うクイズや、出前講座などによる金融教育も同行が提供する。

端末に顔を向け、「顔パス決済」の準備を行う生徒=日立市西成沢町2で2024年9月10日午前10時38分、川島一輝撮影

 9日には、生徒たちが「顔パス決済」で好みの菓子を購入する様子を報道陣に公開した。寮では従来、自動販売機しかなかったこともあり、3年の丸山夏槻さん(18)は「使い方が簡単で、楽しいシステムなので人気です」と歓迎。「すごく便利な半面(お金を)使い過ぎてしまうこともあると言われたので気を付けたい。金融の教育ではすごく役に立つと思う」とも話した。

 同社の担当者は「無人で運用できるので、人口減少社会で買い物難民の皆様を助けられることを目指している」と、将来的な応用に意欲を見せた。【川島一輝】

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