厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は6日、6月分の毎月勤労統計調査(速報)を公表した。物価変動を加味した実質賃金は、前年同月より1・1%増え、27カ月ぶりにプラスに転じた。今年の春闘で大企業を中心とした賃上げ率が5%台に達する33年ぶりの高水準を記録したのに加え、夏のボーナスが増えたためだ。

 実質賃金は5月分まで、26カ月連続でマイナスで、比較可能な1991年以降で、過去最長を記録。名目賃金は伸び続けていたものの、物価の上昇に追いつかない状況が続いていた。

 名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比4・5%増の49万8884円。30カ月連続で前年を上回り、97年1月分(6・6%)以来の水準だった。原材料費の高騰や円安の影響で、食料品や日用品の価格の高止まりに変化はなく、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は同3・3%上昇しているが、名目賃金がそれ以上に伸び、実質賃金はプラスに転じた。特に、夏季賞与を反映する「特別に支払われた給与」が同7・6%増加した影響が大きい。

 現金給与総額のうち、基本給を中心とした所定内給与は前年同月比2・3%増の26万4859円で、29年8カ月ぶりの高い伸びだった。ベースアップなどによる賃上げが反映された結果とみられる。就業形態別の現金給与総額は、正社員ら一般労働者が同4・9%増の66万4455円、パートタイム労働者は同5・7%増の12万1669円だった。

 業種別で現金給与総額の増加率が最も高かったのは、生活関連サービス業で同11・7%。金融業・保険業が同11%増、運輸業・郵便業の同6・9%増と続いた。【神足俊輔】

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