(ブルームバーグ): 日立製作所は家庭用エアコンの製造から撤退する。日立と米大手電機メーカーのジョンソンコントロールズインターナショナル(JCI)の両社は、家庭用エアコンなど空調事業を手掛ける合弁会社を独ロバート・ボッシュに売却する方向で最終調整している。
ジョンソンコントロールズ日立空調を売却後も、日立はデータセンター向けなど一定の需要が見込める業務用空調事業は続ける。ただ高収益が見込める事業にシフトする戦略を背景に、「白くまくん」の名称で親しまれてきた家庭用エアコンの製造からは撤退することになる。
日立は1952年、日本で初めてウインドー型のエアコンを発売し、京都府内のホテルに納入した。59年には白くまのマークが登場。白くまくんの呼称が正式に採用されたのは75年で、初代は実写だった。
日本冷凍空調工業会によると、2023年の国内の家庭用エアコンの出荷額は7823億円で前年比ほぼ横ばいだったが、台数で見ると3年連続で前年割れだった。ダイキン工業をはじめパナソニックや三菱電機などプレーヤーも多く競争も激しい。
15年に日立子会社とJCIが、ジョンソンコントロールズ日立空調を設立。日立グローバルライフソリューションズが4割を出資する。当時の経営陣は世界の競争に勝ち抜き、前進できると確信しているとコメントしていた。
ただ足元で空調事業を含む「生活・エコシステム」の売上収益は全体の4%程度にとどまる。日立は、鉄道システムといったインフラ関連やデジタル化支援など強みがあり、成長が見込める事業に経営資源を集中する方針にかじを切った。今後、エアコン以外の家電事業をどのように扱うかについて関心が集まっている。
海外での白物家電事業については、20年にトルコ家電大手のアルチェリクと協業する道を選び、合弁会社を設立。アルチェリクが6割を出資する。
日立製作所の加藤知巳最高財務責任者(CFO)は、4日のブルームバーグとのインタビューで、アルチェリクとの合弁について去年は計画通りにいかなかったとし、今年は挽回するため施策を打っていると説明。まずは立て直しや強化を優先するが、「もちろん将来的にはいろんなオプションがある」と述べた。
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