物価高騰のニュースが多い1年でしたが、みなさんはどのような工夫をしていたのでしょうか。お金に関する出来事について振り返っていきます。

気になったお金のニュース1位は「食品・日用品等の値上げ」

南波雅俊キャスター:
まずは『2024年 最も気になったお金のニュース』(三井住友銀行調べ、20~40代の男女600人を対象)というランキングをみていきます。

最も多かったのは44%程度の人が回答した「食品・日用品等の値上げ」でした。

【2024年 最も気になったお金のニュース】
1位:食品・日用品等の値上げ
同率2位:新NISA開始
同率2位:円安の加速
4位:最低賃金の過去最高引き上げ
5位:新紙幣発行
6位:郵便料金や配送料の値上げ
7位:ふるさと納税の規定厳格化
8位:日銀 マイナス金利政策の解除
9位:日経平均株価 史上最高値の更新
10位:定額減税

まさに2024年らしい言葉が並んでいます。

ホラン千秋キャスター:
中田さんには、何か印象に残っているお金のニュースはありますか?

中田敦彦さん:
円安は私もYouTube動画のテーマにして、爆発的に再生数が伸びたので、みなさん関心があるのだと思いました。

あとは、日銀によるマイナス金利政策の解除でしょうか。歴史的な解除でガラッと変わるのではないかと思いましたし、ほかにも最低賃金の引き上げなど頑張っている印象はありますが、実感につながっているわけではないというのが見てとれます。

井上貴博キャスター:
これまでは、自分の世代も含めて日本では金融教育があまりなく、リスクゼロを求めて預金をする方が多かった印象があります。

しかし、新NISAが開始されたことにより、リスクを少し取ってでも運用してみようと考える人が増えてきた気がします。

中田さんがお住まいのシンガポールでは、金融教育で何か日本と違うと感じる部分はありますか?

中田敦彦さん:
確かに、シンガポールは「金融国際都市」といわれています。ただ、金融関係の教育は個人や家庭でしっかりやっていくという流れで、学校で大々的にやっている印象はないです。

しかし、シンガポールも家賃が非常に上がっており、物価も高くなっているので、理由は円安だけではないと思います。

ホランキャスター:
外から日本を見て「日本はもっとこうだったらいいのにな、ここを変えたら大きく成長しそうなのに」と感じる部分はありますか?

中田敦彦さん:
今も問題になっている「103万円の壁」についても、大幅な減税をして、これからよくなるという皆さんの期待感にまでつながるといいのではないかと思います。

政府の物価高対策「定額減税」 その効果について専門家は…

南波キャスター:
まさに物価高対策という部分では、先ほどのランキングの10位に入り、6月にもかなり注目された「定額減税」があります。これは所得税3万円と住民税1万円を合わせ、年間1人4万円減税というものでした。

納税者(給与収入2000万円以下)とその扶養家族が対象で、岸田前総理も「経済の好循環や物価高騰に負けない所得を実感していただく」と話し、この政策を行いました。

一方で、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは「定額減税の効果は多少あったが、物価高が続くなか節約志向になっているので、お金が十分に消費にまわったわけではないのでは」と分析しています。

「QRコード決済で10%還元」 東京都の物価高対策は前倒しで終了

南波キャスター:
さらに、物価高対策として、東京都は「もっと!暮らしを応援TOKYO元気キャンペーン」を行っています。

これは「PayPay」を含む4つのQRコード決済により、最大で実質1万2000円分がポイント還元されるというものです。ポイントをもらうために、街のみなさんはどのようなものにお金を使ったのでしょうか。

男性(30代)
「まあ、お弁当とかですかね。すごく高いものは買わなかった」

男性(20代)
「(QRコード決済を)使っています。今からちょっとランチしてくるので、ポイント還元されるようなお店を探して食べてこようと思います」

また、東京都のキャンペーンに加えてポイントが増額する特典も利用し、約1000ポイントをゲットしたという人もいました。

これに対し、QRコード決済に消極的な人も…

女性(70代・都内在住)
「(PayPayは)使ったことはあるけど、普段から使ってない」

女性(20代・都内在住)
「全然わかんないです。まだ現金ばかりです。新しいことを導入するのはめんどくさい」

南波キャスター:
東京都のポイント還元キャンペーンは、12月24日の午後11時59分までです。対象の店舗で対象のQRコード決済をすると、最大で10%還元されます(上限3000円)。

このキャンペーンはすでに第1弾が3月に行われ、約1531万人が利用し、1週間前倒しで終了しています。予算は91億円、対象店舗数は約35万でした。

今回のキャンペーン第2弾も3日前倒しで終了予定ではありますが、予算は139億円、対象店舗数は約43万と、第1弾より増やして実施しています。

井上キャスター:
こうしたQRコード決済や子育て支援策、高校の授業料無償化など、自治体が先行して取り組んで国を突き上げるような構図もいいのではと思います。「自治体のいいところを、国がどうできますか」という感じはしますが…。

中田敦彦さん:
確かに、このような細かいケアは自治体のレベルのほうが行き届くかもしれないですね。

ホランキャスター:
体力がない自治体のなかには、こういうことができないとなると「国にお願いします」という場所ももちろんありますよね。

井上キャスター:
YouTubeでも中田さんが取り上げていましたが、国の意思決定についても、今までは与党が考えていました。しかし少数与党になってからは、野党と話し合いながら進めていかなければならなくなり、政治のあり方も2024年で大きく変わりつつあるのではとも思います。

中田敦彦さん:
国民の声がある程度届いていて、与党が国民のほうを向かざるを得ないのは、いい状況ではあると思います。

「物価高」と「為替」、2025年はどうなる?

南波キャスター:
2024年は物価高が非常に苦しかったと思いますが、2025年はどうなるのでしょうか。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井さんは、物価高に関しては「物価上昇率は2024年よりも緩やかだろう」としています。

しかし食料品などの生活必需品については、人手不足などもあるので、高止まりした状態が続くのではないかともみています。

また、為替は現在157円前後で推移していますが、「2025年は緩やかな円高になり140円台で推移するのでは」とのことです。

一方、日銀も利上げがあると思いますが、アメリカも利下げがあるので、専門家は「日米の金利差が埋まるわけではない」ともみている状況です。

井上キャスター:
先ほど中田さんは「シンガポールでも物価高騰」というお話をしていましたが、日本に帰ってきて、日本の物価はどう感じますか?やはり、シンガポールのほうが高いですか?

中田敦彦さん:
シンガポールの上がり方のほうがむしろ激しいです。家賃が1.5倍から2倍になるようなところもあり、都心から少し郊外へと仕方がなく引っ越している人もいますし、移転しなければならない店舗もあります。

そういうレベルでいうと、日本の物価高もすごいと思いますが、国際的なものでもあると思うので、それぞれの国で対応するしかないのではないかと感じます。

井上キャスター:
資源も足りなくなっているということで、世界的に物価が高騰しており、2025年以降も続くのではないかということでした。

==========
<プロフィール>
中田敦彦さん
動画配信で政治や国際問題など時事ネタを解説
YouTubeチャンネルの登録者数540万人超

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。