あるアイデアで落とし物の厄介な問題を解消し、快進撃の成長を遂げようとするスタートアップ企業がある。
【映像】落とし物を自動登録する様子(実際の映像)
去年、全国の警察に届けられた落とし物は約2979万点と過去最多を更新。警視庁によるとイヤホンをはじめ、モバイルバッテリーなど小型電化製品の忘れ物の急増が背景にあるという。現金の落とし物も総額約228億円と過去最高額となった。
落とし物は預かる側にも負担があり、管理・対応だけで人件費も含め億単位の経費がかかる。そんな厄介な落とし物事情に、落とした側だけでなく預かっている側にとってもありがたいビジネスを起こした人がいた。
株式会社findの和田龍取締役COOは「落とし物の管理は1円の売り上げにもならない」として、仲間たちと忘れ物の厄介さを解消する「目からうろこ」のビジネスを編み出した。
和田氏は忘れ物の実情について「1つは管理コスト、つまり人件費の削減。鉄道企業だったら年間数億円かけて対応している企業も多い。落とし物専用の人材、落とし物の管理だけをしている人材を何十人も抱えている企業が多い」と説明すると「そこのコストをどうにかして下げたいというのが、鉄道企業、商業施設の課題として潜在的にあった。AIの技術が進化する中で、解決できる」とコメント。
そこで新たに生み出した新たなビジネスが「落とし物検索サービスfind」。預かる施設と落とし主をマッチングさせることで、施設側の負担を軽減させ、落とし主も見つけやすくなる仕組み。すでに京王電鉄や東京ドームシティなど全国2300か所が導入しており、なかでも毎年20万件近くの忘れ物があるJR九州ではfindを導入したことで、問い合わせ電話が90パーセント以上の削減に成功した。
手順としては、鉄道会社の場合、電車内や駅で取得した落とし物の情報をデータ化してfindに登録。落とし主はLINEのfind公式アカウントで「いつ、どこで、何を」落としたかなど問い合わせ内容を送信し、findのオペレーターは膨大な情報の中から、落とし主と鉄道会社をマッチング。つまり、いままでは施設ごとに落とし物の問い合わせ受付や管理をしていたが、それをfindが肩代わりするというスキームだ。
和田氏は電話だと対応に10分程度かかるケースが多いとして「(findは)平均1分半で1件処理できる」と、1件あたりの問い合わせ時間が大幅に削減されと解説。findは落し物を生成AIで落とし物の特徴を自動登録ができるため、管理側のさらなるコスト削減にもつながる。また、落とし物データをクラウド化することで一元管理。findに加盟している企業の落とし物であれば、横断検索も可能だ。
企業側から落とし物の数に準じたfind使用料を払ってもらい、ユーザーは無料で使用できる。和田氏は「業務負荷の軽減でマネタイズしている。結果ネットワーク効果が生まれ、実際にお客さんへの返却率が3倍4倍になっている」と、落とし主にも恩恵があると語った。
このビジネスモデルを思いついたきっかけは“共同創業者の落とし物”で「何か事業を作ろうと友人と話す中で、そのタイミングで友人が落とし物をして、いろんな施設に電話し続けるのが大変だったという課題があった。その課題というのは、いま全員がスマートフォンを持ち、AIの技術が進化するなかで解決できるのでは」と考えたそう。
findは空港、大学、商業施設にも広がり、すでに彼らが構築したデータベースは市中にある落とし物の20パーセントを網羅しているという。和田氏は「『落とし物が必ず見つかる世界』を目指している。4〜5年で(日本の遺失物量の)50パーセントを網羅したい」と意気込みを語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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