今夏のパリ五輪に出場した瀬戸大也(30=CHARIS)が自身3度目の挑戦となった五輪から約3カ月、現在の心境を語った。16年リオ五輪の銅メダル、そして世界選手権で4つの金メダル。30歳を迎えたトップスイマーが目指すものとは。
「いや楽しかったです」。プールから上がった瀬戸大也の顔が充実感に満ちていた。真剣勝負の大会の眼差しとは違う、2人の子どもを持つ父親が見せる柔和な表情だった。
10日、青森県八戸市で40周年を迎えた「フィットネスクラブウイング八戸」の特別水泳教室に特別講師として招かれた。1時間半ほどの教室では自ら実践しながら泳ぎ方を熱血指導。子どもたちからの質問攻めや記念撮影にも応じた。
子どもたちのキラキラした眼差し 自分もまだまだがんばりたい
瀬戸は冒頭「楽しかった」と口にした後、こう続けた。「自分もすごくジュニアのときは反復練習や細かいところを意識してやっていたので、すごく懐かしい感じ。キラキラした眼差しでみんな見てくれて自分の過去にもやっぱり照らし合わせると何か頑張ってよかったなって思いますし、まだまだやっぱり自分も頑張りたい気持ちがある」。
30歳3度目の五輪はメダル獲得ならず
瀬戸は3度目の挑戦となった8月のパリ五輪では200メートル個人メドレー、400メートル同ともに7位に終わった。それでも悲壮感はない。「メダル獲得はできなかったんですけど、自分の感覚的には久々に自分らしい泳ぎができた」。30歳の眼差しはこの日の水泳教室で一生懸命に泳ぐ子どもたちと変わらない。「あと4年かけてもう一度自分の自己ベストを更新できるようにチャレンジしたいなっていう思いで今いる。そういう環境を今年末までに整えて、年始からはしっかりとそれで拠点に帰ってトレーニングしたい」。2028年のロサンゼルス五輪を見据え、成長を止める気はない。
萩野氏と切磋琢磨して日本競泳界をけん引
高校時代からリオ五輪金メダリストの萩野公介氏とともに注目されたものの、2012年ロンドン五輪はライバル萩野氏が銅メダルを獲得した一方で、瀬戸は出場を逃した。それでも翌13年の世界選手権400メートル個人メドレーで世界のトップに立つと、世界選手権で4つの金メダル、五輪ではリオ大会で銅メダルを獲得するなど日本のトップを走り続けてきた。
30歳年齢との戦い「競技者としての寿命伸ばす」
萩野氏が東京五輪後に引退した後も、瀬戸は現役を続け、気づけば今年5月に30歳となった。トップスイマーとしては年齢との戦いともなってくるが瀬戸は言い切る。
瀬戸大也
「自分はここから続ける理由の一つとしては、競技者としての寿命伸ばすっていうところもあるし、まだまだ30過ぎてもベスト狙えるぞと鈴木聡美さんがベストを連発したり、そういう姿を見させてもらっているので、自分もそこに乗っかりたい。昔は競泳は「大学生や高校生がピーク」と言われたのを引き上げたいなと思いでやっていきたい。あとはやっぱりあの大舞台で自分の自己ベストを超えて自分が納得するレースをするっていうことをしたい」
競技普及への思い 「北から南からいろんなところへ呼ばれたら行きたい」
純粋に速く泳ぎたいー。中体連が全国中学の規模縮小のために2027年度から水泳を実施競技から外す方針を示すなど競技を取り巻く環境が変わる中、瀬戸は水泳選手として挑戦を続けていく姿を見せることで、競技環境を盛り上げていきたい思いがある。
瀬戸大也
「今、日本の競泳界が下火になってきてしまっていて、こういうふうに自分がいろんなところに行かしていただいて、子どもたちと触れ合うことによって、自分が過去に感じた「世界で戦いたい」という思いを1人でも多くの子が感じ取ってくれたらいいなと思います。そこで自分の思いや意識してるポイントだったりスキルっていうのを教えていけたら。本当にこういう水泳教室をする好きですし、また12月に鹿児島の方でやる予定とかもあるので。北から南からいろんなところへ呼ばれたら行きたいなと思ってます」。
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