香川県が全国の生産量のほとんどを占めているのがオリーブです。
雪国信州では、滅多に聞かないオリーブの生産農家が喬木村にあると聞き訪ねてみました。
飯塚アナウンサー:
「南信州は喬木村にやってきました。信州も実りの秋を迎えています。そんな中、長野県で栽培しているという話はほとんど聞かない、ある果実を求めてこちらにやってきました」
飯塚アナウンサーが喬木村で出会ったのは。
緑に輝く、小粒の果実。
飯塚アナウンサーと栽培農家の中野さん:
「長野県では珍しい?」
「と思います」
「これこのまま食べたらおいしいですかね?」
「鳥も食べません」
「そうなんですか」
生で食べることはないこの果実とは。
栽培し続けること6年。
喬木村で挑戦している夫婦を取材しました。
果物の栽培が盛んな南信州の喬木村。
この場所である果実を栽培しているのが中野克也(なかのかつや)さんと妻のあかねさんです。
地域おこし協力隊として7年前に兵庫県から移住してきました。
飯塚アナウンサーと中野さん:
「長野県ではめずらしいものを栽培している農家さん?何の木でしょう?」
「これはオリーブです」
「オリーブ?」
中野さん夫婦が、喬木村で栽培しているのはオリーブです。
飯塚アナウンサーと中野さん:
「オリーブが木になっているところ、なかなか見たことがないですよ。けっこう背が高くなるんですね」
「そうですね」
「これで何年ぐらいですか?」
「植えてから4年ぐらいですよ」
「実はどれですか?」
「実はこんな感じで」
「これですか?オリーブっていうと濃い茶色っていうイメージがある。これ緑なんですね?」
「色が変わってくるのが11月ぐらいに黒くなりますけど、この緑のオリーブからは油がとれます。いわばジュースみたい」
「このオリーブっていうのは果物の一種っていうことでいいですか?」
「はい」
「このまま食べたらおいしいですか?」
「それが残念ながら、ポリフェノールがすごく入っていますので渋い苦いので鳥も食べません」
「えそうなんですか」
試食した飯塚アナウンサー:
「すごい苦い!渋柿みたいにしびれますね」
「本当に一瞬ねオリーブオイルのいい風味がするんですよ一瞬一瞬ね」
「これがあの風味豊かなオリーブオイルになるんですね?」
中野さん夫婦は、6年前からオリーブを育て始め、喬木村の3か所で栽培しています。
また、自宅ではゲストハウスを営んでいます。
飯塚アナウンサーと中野さん:
「移住してきて、その生業としてオリーブを選んだ理由は何だったんでしょう?」
「この地域は日照時間がとても長い。寒暖差が非常に大きいということで、もしかしてオリーブ育てることができるんじゃないかなって思ってまして、失敗の可能性があるけれどやってみようかなっていうことで」
スペインやイタリア、国内でも香川県など、温暖な地域で栽培されるオリーブ。
氷点下10度ほどの寒さであれば耐えられると栽培を始めた中野さんですが、信州の冬はそれ以上に厳しく、対策には頭を悩ませてきました。
中野さん:
「これはですね見ての通り枯れているんですけど、やはりどうしても寒さに耐えてはくれなかったという感じですね」
「オリーブはマイナス10度になると枯れることが多いと言われているんですけど」
「その氷点下10度以下に負けてしまった?」
「ということだと思います」
多くの木が被害に遭いながらも中野さんは、木の根もとにわらを敷いたり、密集して育てたりするなど、試行錯誤を続けながら6年間で100本を育てました。
栽培の苦労を二人三脚で乗り越え、少しずつ収穫量を増やしてきた中野さん夫婦。
実はこの秋、これまで念願だったことがついに叶いました。
静岡県西部の袋井市。
ここに、オリーブの持ち込みを受け入れ、オイルを搾る施設があります。
中野さん夫婦が栽培し、収穫した実から初めて、オリーブオイルを搾ります。
持ち込んだオリーブは、中野さん夫婦が6年間、わが子のように大切に育て続けた結晶です。
中野さん夫婦:
「感無量です」「感慨もひとしおっていうやつです」
「69.41(キロ)でした」
「よくとりましたね」
「きのう暗くなっても終わらなかったんで、けさ6時から収穫再開をして」
オリーブは水洗いしたあと、オイルを抽出しやすくするため、練ったようなペースト状にします。
いよいよ、中野さん夫婦のオリーブを搾ります。
「もうちょっとで中野さんのやつできます」
オリーブを機械に入れて、およそ50分。
緑色に輝く、中野さん夫婦のオリーブオイルが搾り出されました。
試飲する中野さん夫婦:
「やっぱり辛いですね」
「これがいわゆるイタリア人にとっての薬味になる。ピザパスタなんかにオリーブオイルかける、僕らがうどんやもつ煮に七味とか柚子胡椒をのせるのと一緒で、苦み辛みがあるから引き立つ」
中野さん夫婦:
「やっぱり自分たちが作ったオイルなので、おいしいというか僕にとっては美味しい」
「何か本当に子どもが生まれるみたいな本当に喜ばしいことですね」
袋井市の加工施設で出会った近藤佳裕(こんどうよしひろ)さんは、イタリアでオリーブ農園を営んでいます。
また、国内でオリーブ栽培の支援にも取り組んでいて、近藤さんは栽培技術の発展につなげたいと、長野県の農家に期待を寄せています。
近藤佳裕さん:
「長野って果樹の農家さん知識が豊富なので、ぜひぜひ果樹に対しての知識造詣が深い方々がオリーブに参画していただくと、新しい技術がどんどん高まっていくのではないかなって思っています」
中野さんもまた、喬木村でのオリーブの生産を加工や販売へと広げることで、地域の活性化につなげたいと考えています。
中野さん:
「栽培にも労力はあまりかからない、力仕事も少ない、あるいは加工したりとか葉っぱを利用したりとかいろいろな利用形態があるということで、この果物王国の中に混ぜていただくことができれば、それなりに兼業的にできる可能性もあるのかなと」
中野さんによりますとオリーブの活用は実だけでなく、葉っぱをお茶にしたり、苗木を盆栽にしたり、余すところがないそうです。
また、アイスクリームに上質なオリーブオイルをかけるとおいしいということです。
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