今年も各地で満開になった桜が多くの人を魅了しましたが、ひとたび散ってしまうと大量の花びらはやっかいな存在になってしまいます。そんな桜の花びらを有効活用しようという新たな取り組みを取材しました。

今年も満開の桜が春の訪れを告げました。

京都府京田辺市の工場では、敷地内に植えられた1000本以上の桜が咲き誇り、地元ではちょっとした名所となっています。

しかし、満開から1週間も経つと少し困ったことが起きるといいます。

椿本チエイン 京田辺工場 大崎貴史 総務課長
「散った後の花びらの掃除というか、集めた桜がごみになってしまうんで、それが毎年なかなか処分に困ると」

毎朝、散った花びらを回収しますが、30分もすると…。散った後は、やっかいな存在になる「花びら」ですが。

記者
「ごみになってしまう桜を使って、新たな素材をつくる取り組みが始まっています」

「花びらをあるものに変える」という大阪の会社を訪ねると。

関西ユアイノベーションパートナー 酒井勇輝 社長
「桜の花びらをベースとした『サクラチック』という素材を開発しておりまして。花びらを樹脂に混錬させて開発した」

業者や自治体が処分する予定だった桜の花びらを回収し、新たな商品の開発を進めていました。

酒井勇輝 社長
「(Q.茶色いものは何?)花びらの繊維でして、サクラチックに関しては着色をいっさいしていないんですね。(Q.桜本来の色?)そうです」

迷惑がられていた桜の花びらを有効活用でき、さらにプラスチックの新たな可能性も見出せる、まさに一石二鳥の取り組みだといいます。

桜の花を使ったプラスチック素材の開発は世界初だということで、その作り方は特殊です。

酒井勇輝 社長
「桜の花びらを凍結乾燥させるところです」

そのまま使うと劣化して変色するため、特殊な機械で「フリーズドライ」に加工します。それを今度は樹脂を加工する工場へ。まずは材料となる無色のプラスチックを溶かします。そこに桜の花を入れると、わずか数十秒で鮮やかなピンク色に。花を混ぜることでプラスチックの使用量を20%削減することもできるといいます。

資源として桜の花を生まれ変わらせる「サクラチック」。今後はアクセサリーや食器などに加工し、販売する予定だといいます。

酒井勇輝 社長
「桜のようなごみになってしまう資源は、探せばたくさんあると思うんですね。(ごみになる桜の花を)素材化することで価値をつけて、日本のモノ作りがより価値のあるものに変わればいいなと」

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