10月27日に投開票される衆議院議員選挙。各地で激しい選挙戦が繰り広げられています。今回、“保守分裂”で注目される和歌山2区をピックアップ。候補者たちの訴えを取材しました。
自民党の新人 二階伸康さん
“保守王国”和歌山県。和歌山2区では、裏金問題に絡み政界を引退した自民党の二階俊博元幹事長の三男・二階伸康さん(46)と、裏金問題で自民党を離党した世耕弘成さん(61)が激突します。自民党関係者からは「これは“紀州戦争”や」との声も。
(自民・新人 二階伸康さん)「(私が)持ち得る武器、それは若さとふるさとへの思いです。地方にもう一度元気や活力を戻す」
自民党の新人、二階伸康さん。訴えるのは「地方の強靭化」と「郷土愛」。原点は「いつも家にいなかった父の存在」でした。
(自民・新人 二階伸康さん)「父親がいなくても、父親代わりのように目をかけてくださった大人の方が多くいました。地元のみなさんのおかげで、みなさんの背中を見て私は育つことができたんです」
大学卒業後、全日本空輸(ANA)で13年間勤務。政治経験はありませんが、父・俊博さんからこんな助言をもらったといいます。
(自民・新人 二階伸康さん)「『靴に聞け』と。『勝てるか負けるか不安になったときには、自分の靴に聞いたら教えてくれるよ』と、そう言われたんです」
父の教えを守り、選挙区を走り回ってきました。10月18日、靴底の減り具合は…
(自民・新人 二階伸康さん)「(Q中盤戦ですが、靴はどんな感じ?)まだ中盤、これからあります。まだこれからでしょう。(Q靴底のすり減り具合は?)どうですかね」
そして“二階王国”と呼ばれるだけあり、後ろ盾も強力です。
(和歌山県 岸本周平知事)「お願いします。(鬼の)金棒になって、鬼と一緒になって戦おうじゃありませんか、皆さん。和歌山から総理大臣を出そうじゃありませんか」
和歌山県の岸本知事がそう叫べば…
(石破茂総理)「『二階伸康を頼む』そのお声をかけてください。スマホなんて持っていない方はガラケーでよろしいのです。そんなもの持ってないという方はお家のお電話でよろしいのです」
父が築き上げた王国を継承できるのでしょうか。
無所属の新人 世耕弘成さん
一方、そこに待ったをかけるのが…
(無所属・新人 世耕弘成さん)「派閥の還付金不記載の問題で大きな失敗をしました。皆さん方に大変なご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした」
裏金問題で自民党を離党した世耕弘成さん。「旧安倍派の実力者」として経済産業大臣にまでのぼり詰めましたが、今回、参院議員からくら替えし、無所属・新人という立場での戦いになります。
(無所属・新人 世耕弘成さん)「和歌山県、特にこの紀南地域が直面する人口減に真正面から立ち向かっていきたいと思っています」
「少子化対策」に加え、「製造業の国内回帰」などを訴えます。そして、もうひとつアピールするのが…
(無所属・新人 世耕弘成さん)「実はきょう、私は安倍さんの形見を身につけております。なんでしょう?靴なんです」
二階さんと同じく「靴」。一度退陣した安倍晋三元総理が再び返り咲こうと地元・山口県を歩き続けた時の一足。昭恵夫人から形見として譲り受けたといいます。
(無所属・新人 世耕弘成さん)「安倍さんの心境、『もう1回政治家として出直したい』という心境を感じる。(Qどこの靴?)ブランドものではないと思いますが…リーガルですね。(Qクッションは効いている?)歩きやすいですよ。本当にぴったり」
靴を託した安倍昭恵夫人も応援に駆けつけます。
(安倍昭恵さん)「きっと夫は『世耕ちゃんのところに行ってあげて』と。どこかに夫の魂が、この靴の中にも残っているのかな」
その思いは届くのでしょうか。
立憲民主党の新人 新古祐子さん
この保守分裂の争いに割って入りたいのが…
(立憲・新人 新古祐子さん)「2区のいいところをしっかりとみなさんにお伝えすべく…頑張って…ちょっと待って。緊張する」
立憲民主党の新人、新古祐子さん(52)。緊張しつつも訴えは強気です。
(立憲・新人 新古祐子さん)「2大巨頭といわれる"裏金ブラザーズ"に対して戦いを挑むような形になっています」
その経歴とは?
(立憲・新人 新古祐子さん 去年9月の和歌山市議会)「恥ずかしがり屋な性格のためかなり緊張していますが、一般質問頑張って参りますので、どうかよろしくお願いします」
去年4月の和歌山市議選挙で初当選。約1年半、市民の声に耳を傾けてきました。訴えるのは「クリーンな政治」、「女性が活躍できる社会」そして「地域の活性化」です。というのも新古さんには“もう一つの顔”があります。
(立憲・新人 新古祐子さん)「(Q今から何を?)ちょっと選挙を抜けて。観光ツアーを作っているので、その最終確認に来ています。(Q選挙とはまた違う?)違います。”地域食プロデューサー”としての仕事をやっているので」
実は、食を通じた地域の活性化に取り組む会社を経営しています。この日は、立候補前に立ち上げていたインバウンド向けのプロジェクトの進捗を確認しました。
(立憲・新人 新古祐子さん)「日本の文化をしっかり知ってもらえたらいいかなと思います。よろしくお願いします」
(市民)「上を目指す人やと思います。やっぱり女性目線の政治、それをやってほしいですよね」
(立憲・新人 新古祐子さん)「伝統産業や一次産業を実際に現場の目線から私は携わってきているので、現場が本当にほしい支援や本当にしてほしいことをきっちり国に訴えることができると思っています」
共産党の新人 楠本文郎さん
共産党からは新人の楠本文郎さん(70)。
(共産・新人 楠本文郎さん)「今回の総選挙で一番問われているものは裏金問題なんですね。私利私欲なく働く、そういう議員を目指して頑張る」
自民党の裏金問題を強く批判します。さらに…
(共産・新人 楠本文郎さん)「消費税を5%に緊急に減税する。毎日が減税です。そしてやがて消費税は廃止していく、この方向を目指していこうではありませんか」
そんな楠本さん、支援者の間では“こんな異名”で呼ばれています。
(支援者)「伝説の人」
(支援者)「伝説の人ですよ」
人呼んで“レジェンド楠本”。その所以は、2019年の和歌山県議選。定数が1人の御坊市選挙区で、二階元幹事長の元秘書との一騎打ちを制したのです。
(支援者)「泣きましたよ、この事務所で。”二階政治”と対決できるのは和歌山2区で楠本文郎しかいない」
若いころは小学校の教師だったという楠本さん。当時の教師仲間によりますと、クラスの担任を持つかたわら、組合活動にも打ち込むなど真面目で子どもたちからも愛された先生だったといいます。クラスの卒業文集には…
(支援者)「(楠本さんの)顔が四角だったから、ホームベースみたいに描かれている。ホームベース型」
楠本さん本人にも”伝説”について尋ねてみました。
(共産・新人 楠本文郎さん)「(Q”伝説”と言われていますが?)たまたま。選挙の構図というのがありますので。実力があると過大評価していません。それはたまたま、組み合わせのものです」
と、謙虚なコメントですが、新たな伝説は生まれるのでしょうか。
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