政治とカネをめぐる問題や物価高対策などが主な争点となっている衆議院議員選挙は27日、投票日を迎えます。旧長崎4区に佐世保市の一部と東彼三町、五島市などが加わった長崎3区では、前職と元職、新人の3人による三つどもえの選挙戦が繰り広げられています。
長崎3区に立候補しているのは。届け出順に日本維新の会・新人の井上翔一朗 候補。自由民主党・前職の金子容三 候補。立憲民主党・元職の末次精一 候補の3人です。
選挙戦終盤、各候補は大票田である佐世保市に活動の場を移し訴えを続けています。今回の選挙の争点は物価高対策、緊張する国際情勢を踏まえての安全保障問題、そして自民党の政治とカネをめぐる問題です。
政治とカネの問題について各候補は
(井上候補)「政治とカネの問題。政権与党にはこの政治とカネの問題を解決することができませんでした」
日本維新の会の井上翔一朗候補。政治とカネをめぐる問題で自民党議員が辞職したことを受けて今年春に行われた旧長崎3区の補欠選挙に続き、2度目の国政選挙挑戦です。自民党の政治とカネをめぐる問題は保守層取り込みへの追い風になっているといいます。
(井上候補)「有権者の皆様は、やっぱり政治とカネの問題がいけないと。それで日本維新の会がその対極にある受け皿なんだという認識はすごくお持ちだなと。『維新の会頑張れよ』というですね、ご声援をいただきますので、そこは手ごたえを感じています」
(金子候補)「自民党の政治資金に関する問題で皆様方の、国民の皆様方の政治に対する信頼が失墜してしまったこと深く反省しお詫びを申し上げます」
今回、前職として選挙を戦う自由民主党の金子容三候補。各地で政治とカネをめぐる問題の釈明を続けています。金子候補自身は問題への関与はありませんでしたが自民党としての逆風を感じています。
(金子候補)「怒り心頭の声をずっと聞いてまいりましたんで、それは野党からの批判というか、国民の皆様方からの批判っていうふうに十分承知をしておりまして、しっかりと反省をして行っていくべきだと思ってます」
(末次候補)「今回の選挙は、裏金解散と言われるように、いわゆる政治とカネの問題について皆様がどのように選択するか」
去年の補欠選挙で金子候補に敗れた立憲民主党の末次精一候補。労働組合などの支援をバックに自民党政治を利権政治と糾弾。政治とカネをめぐる問題を批判し政権交代を訴えます。
(末次候補)「政治とカネの問題については、もう繰り返し繰り返し自民党はやってきてますので、それに対してもう皆さんの怒りっていうものも、もう爆発してるんじゃないかなっていうふうには思います。これまでの自民党のおごった政治というものから新しい政治に変えていく」
長崎選挙区の区割り変更で新3区の争点となった有人国境離島法
今回区割りの変更に伴い、佐世保市など旧長崎4区に、東彼3町、五島市、新上五島町、小値賀町が加わった長崎3区。離島を抱える選挙区になります。
今回の選挙で注目されているのが有人国境離島法。
五島列島などの島民に対する渡航費や物流の支援の根拠となる法律ですが、あと2年余りで期限切れを迎えます。
金子候補がやってきたのは五島市の福江島です。金子候補は自民党政権下で始まった有人国境離島法の延長は、自らの責任と位置づけます。
(金子候補)「離島を有する県の国会議員はそんなに数多くないんです。国境離島新法、国境離島法の延長・拡充を必ず実現させていくと」
農水産業従事者への補償制度を訴える末次候補は、離島における有人国境離島法の重要性を強調したうえで、法律の延長は当然のことであり、むしろ更なる拡充を進めるべきだと主張します。
(末次候補)「国境離島新法、これらをもっと活用していくべきじゃないかと。予算もやはり1桁上げるぐらいの、よりバージョンアップした新法に、改正法にすべきだと私は思います」
金子・末次両候補は一年前の補欠選挙で接戦を繰り広げました。そこに、今回の選挙区の変更がどう影響するのか。元TBS政治部長の龍崎孝さんは特に競り合った選挙戦では区割り変更が不確定要素になる可能性があるといいます。
(龍崎孝さん)「候補者からすれば選挙区が変わるんですけど、選挙区にいる人からすれば、候補者が支持する政治家が急に変わってしまうということなんですね。そこに対する戸惑いとか、投票行動に向かうモチベーションって言いますか動機、これがですね、ある意味突然失われるわけですよね。いわゆる候補者の顔が浮かばないとですね、なかなか投票に行かない。こういうことが起きてくる可能性がある」
離島振興は国防にも直結する問題と位置付ける井上候補。今回拡大した選挙区への対応などから個人演説会は開かず連日YouTubeでの生配信で自身の考えを伝え広い世代に支持を訴えます。
(井上候補)「多く接することができない方々で、私の演説を聞いてみたいとか、どんなこと考えてるのかっていうの知りたいってなった時に、若い人だけではなくて高齢者の方にもリーチできるツールだろうなというふうに考えてます」
佐世保を大票田とする長崎3区。旧長崎4区時代から自民と立憲両候補の接戦が続いてきた選挙区では今回、区割りの変更や維新の候補も加わったことで、新たな構図での選挙戦が続いています。
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