今回のヒーローは、今年遂に覚醒の時を迎えた楽天イーグルス・藤平尚真投手。かつてのドラフト1位は、プロ8年目の今シーズン、先発からリリーフへ転向すると秘めていた才能が一気に開花。球威のあるストレートと鋭く落ちるフォークを決め球に、47試合に登板し防御率1点台の好成績をマークしました。さらに侍ジャパン初選出を果たし、11月の国際大会への出場も決定。大ブレイクとなった要因を深掘ります。

楽天になくてはならない存在に

楽天 藤平尚真投手:
「プロに入ってから1番あっという間にシーズンは終わりましたし、苦しいときもずっと一軍の舞台に居られたので凄く充実感はありました」

今シーズン、開幕から安定した投球を続け、楽天投手陣になくてなはならない存在となった藤平尚真投手。後半戦からはセットアッパーに抜擢され20ホールドを挙げましたが、その座を射止めるまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

名門・横浜高校のエースとして、甲子園に出場し注目を集めた藤平投手は2016年、楽天からドラフト1位指名を受け、鳴り物入りでプロの道へ。未来のエース候補と将来を嘱望されると、ルーキーイヤーに3勝を挙げるなど、早くから期待に違わぬ活躍を見せていました。

しかし、そこから伸び悩み、思うような成績を残すことができず、一軍での登板数も減少。持っている力を発揮できない日々が続きました。

結果を出すために下した決断

必至にもがく右腕は、プロ8年目の今シーズン新たな可能性を求めて、ある決断をします。

先発からリリーフへの転向。全ては結果を出すため、迷いはありませんでした。

楽天 藤平尚真投手:
「活躍しないとクビになる世界で本当に厳しい世界なので、今年に関しては一軍で1年間しっかりアピールするとより強く思って迎えてました」

リリーフに転向した大きな理由は…。

楽天 藤平尚真投手:
「今江監督からリリーフどうだっていう話をもらったのが一番ですね。僕も正直そこに関してのこだわりは無かったので、一軍でしっかり活躍することを一番考えて野球やっていたので、戦力になれるところであればリリーフでも一軍でやりたいですって話をしました」

練習場に藤平投手が1人で…

プロ野球人生の生き残りをかけた再出発。その覚悟は春のキャンプから…。

誰もいない練習場に1人残り、納得がいくまで黙々と投げ込む藤平投手の姿がありました。

楽天 藤平尚真投手:
「たぶん200球くらい投げましたね。やっぱり練習をしっかりやらないと。僕あんまり器用な方じゃないので、そこ(練習)をやった分だけ試合に成果が出ると再確認して、小さい積み重ねが、試合でのパフォーマンスにつながってきたのかなと感じています」

任された短いイニングに全力を注ぐリリーフ。この配置転換が功を奏します。

絶対そこに投げ切れられたら大丈夫!

ボールの球威に加え、課題だった制球力が向上し、4月11日にはプロ初ホールドを記録。1軍の打者と数多く対する中で、理想の投球を導き出しました。

楽天 藤平尚真投手:
「今年に関してはストライクに困ることが少なかったので、しっかり投げ切れば、絶対そこに投げ切れられたら大丈夫だなっていうスポットみたいなのがあって、そこから結構自信をもって、ストライクゾーンに真っ直ぐもフォークも投げられるようになりましたね。自分の頭で描いている投球とかやりたいことっていうのは試合でパフォーマンスできることが多かったのは感じます」

自分が輝ける新たなポジションを見出した矢先、藤平投手に思わぬアクシデントが…。

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